現実逃避帰国準備

ニコラス・ケイジの ウェザーマンの現実逃避帰国準備のレビュー・感想・評価

3.0
昨日『天気の子(Weathering With You)』を観たから、同じ気象関連をと、『Weather Man』を観てみた。

気象予報キャスターの話だけど、気象の話はほとんど関係なくて、気象現象やそれにまつわる言葉などが人生の喩えとして使われてて、ひねりの効いた映画になっている。

『Pirates of the Caribbean』シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督だけど、全く違うジャンル。気象予報キャスターという職業をコメディタッチで描いているそのベースには、夫婦の溝と、父親像の在り方を問う人生ドラマが深く掘り下げられている。これは子育て中、子育て後の”親”が観る映画。父親ロバート(マイケル・ケイン)とその息子デイヴィッド(ニコラス・ケイジ)の関係、デイヴィッドと息子と娘の関係がリアリスティックに描かれている。映画の子供達の年齢が、偶然にも私の子供達と同じ12歳の娘と15歳の息子で、しみじみと共感した。

スポイラーアラート↓



学校の”Molester”カウンセラーのシーンは親として怖かった。昨今、実は女の子だけじゃなく、男の子も性虐待の被害に合っていたというケースが氷山の一角の様に出て来て、親として、娘、息子のヘルプサインを見逃さない様にしないとと気を引き締められた。

死が近いロバート(マイケル・ケイン)が「子供がいくつになっても、親は子供の心配をするもんだ」と言うシーンでちょっとウルっとなった。

General Communicationsの学位で、気象学の学位も無い人が、気象予報キャスターとして一日2時間働くだけで年収$240K(2400万円)も貰えるなんていいねえ。アップルパイや飲み物をぶつけられるのは嫌だけどね。あれは、天気予報を信じたが為に悪い目に遭った人達が恨んで投げてるって事か?

タルタルソースシーン、よくある話。卵買いに行ったのに、肝心の卵を買わずに帰ってきたりとか、家に帰って気がついた時の悔しさ。

アーチェリーの矢を、別居してる妻の婚約者Russに向けるシーンはハラハラした。アーチェリーは何を意味しているのかとちょっと考えると、この趣味を始めてから人生が好転していく様子を見ると、集中力を要するアーチェリーというスポーツはメディテーションの役目になっていたというのを描写しているのかな。

亡くなった父ロバートの埋葬の日、雨が激しく降る中、デイヴィッドが息子に、二人の内どちらかが傘を持ってきて良かったと言うと、息子マイクが「I had a feeling it was gonna rain today.」と言い、デイヴィッドが「You're not gonna take my job, are you?」と言うシーン。微笑ましかった。

娘や元妻もテレビで予報を伝えてるDavidを見るシーン、そして、天気予報訊かれて、”Who knows!”って言う最後は、年収$1.2MのNYでの気象予報キャスターの仕事を得て、人生悪い事ばかりじゃない、心配するなというメッセージか。ポジティブに終わって良かった。

気象予報キャスターというと、『モンスターVSエイリアン』を思い出す。気象予報キャスターって職業が、ちょっと馬鹿にした扱いを受けてて可哀想。


6/5/2020
Pluto