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マルサの女のtomひでのレビュー・感想・評価

マルサの女(1987年製作の映画)
4.0
午前十時の映画祭で『マルサの女』を久しぶりに鑑賞。『マルサの女』を観るのは2回目。36年前の映画だが今観ても古さを感じさせない面白い映画だった。監督・伊丹十三の才能を改めて感じた。

カメラ、照明、凄くいい。メインタイトルが出るまでの短いオープニングだけでもかなりの見応えがある。昔の4対3のテレビサイズの画面の中に配置される人物やオブジェクト、その構図の取り方、めちゃくちゃ巧い。人物の表情だけを敢えて黒潰しで見えなくしたり、逆に表情だけにスポットライトをあてて強調したり、影を意識したコントラストのある画作りが巧すぎる。勿論オープニングだけでなく全編に渡って丁寧な画作りがされているので、それを見ているだけで楽しくなる。

カリカチュアライズされた権藤、マルサの亮子、キャラクターの作り方も巧い。山崎努、宮本信子、面白いしいいなぁ。俳優の力を引き出す伊丹十三、流石。短い単調なリフで繰り返されるテーマ曲もとても印象に残る。

映画帰りに横浜でやっている生誕120年小津安二郎展に行ったら『秋日和』の予告編がながれていて、権藤の妻を演じた岡田茉莉子の若き姿が出てきて、その半端ない美しさに驚いて帰ってきた(笑)

「これからのヤクザは脱税で刑務所に入るんだ」
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