エリオット

ガートルード/ゲアトルーズのエリオットのレビュー・感想・評価

4.8
ドライヤー鑑賞3作目

「奇跡(御言葉)」の方が完璧度は高い気がするが個人的には本作の方が「怒りの日」や「奇跡」より分かりやすくて好み。「愛こそがすべて、しかし、それは不幸に至る道」というテーマも。俳優の演技が芯をなしているところも。

長回しは「奇跡」よりさらに徹底され、真四角のシンメトリー的な構図より、さらに球的に回り込むように徐々に移動するカメラは、どれだけリハーサルを徹底して繰り返したんだという俳優の寸分たがわぬ動きやセリフ回し、表情、視線に見る者を釘付けにする。

登場人物はみな互いの顔を見て話さない。とくに主人公の女性ゲアトルーズは登場したときから視線があらぬ方向を彷徨ったままで、相手より自分に話しているかのようで現実とも夢ともつかない。鏡に映った姿も同様。

今回見た3作は映画としてとても美しく今後何度も見直したいし「裁かるるジャンヌ」も早く見てみたい。
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