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女王陛下の戦士のarchのレビュー・感想・評価

女王陛下の戦士(1977年製作の映画)
3.0
国内が親ドイツと反ドイツで二分され、ドイツに早々に制圧されて女王はイギリスに亡命というWWⅡのオランダという国家の歴史を6人の青年達の生き様を通して描いているのが面白い。

興味深いのは、最終的に生き残り、英雄的な立ち位置にまで上り詰めるエリックという主人公に対して、残り五人(内4人は死んでいる)がエリックの「選ばなかった道」を頭に過ぎらせるという点だろう。もしかしたらエリックもそうなっていたかもしれないを強く思わせるは仲間たち、1番はヒュースであり、ギロチンで処刑される寸前に上空の飛行機の音に反応して振り向くのが強烈だ。そこには指一本分の差しかなかったのかもしれないのだから。

本作は戦争ドラマながら、かなり英雄譚的かつ冒険譚的な側面が強く、面食らう作品だった。特にオランダからイギリスに亡命するまでの話かと思ったら、そこからスパイになって最後には英雄的軍人になるとは全く思わなかった。後半のノリは好きだが、やはり前半とのギャップに何を見ているのかよく分からなくなるところはあった。

ヴァーホーヴェン印のトイレシーンはこれまでが日常の象徴であったからこそ、あの非日常的な出来事の強烈さを演出できていて上手いと思った。

ただよ〜女王陛下、どんな気持ちで帰ってきたんだとは思うし、自分の中のシラケっぷりとオランダの戦勝ムードのギャップに何か大事な部分に反応できてないんだなとは思いました。
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