幕のリア

ミル・マスカラスの 幻の美女とチャンピオンの幕のリアのレビュー・感想・評価

4.0
1,000レビュー目は塾考に塾考を重ね、この一本にさせて戴きました。

"千の顔を持つ男"ミル・マスカラスも出演するルチャドールムービー。

私が幼き頃に百円玉数枚を握りしめ、近所のレコード屋"クレモナ"で初めて買ったシングルレコードがマスカラスの入場テーマ曲、ジグソーの『スカイ・ハイ』でした。
ジャケはマスカラスのフライング・クロスチョップ炸裂の写真。
B面はお馴染み♫チャーンチャチャーンチャ♫NTVのスポーツ行進曲、馬場さんの入場テーマ曲として使われた時期もあり。

この後タイガーマスクブームですっかりマスクマンに魅了された私は、デラックスプロレス増刊の『ビバ!ルチャ・リブレ』というMOOK本を穴が空くほど読み倒し、その後初めてのバックパック旅行でメキシコへ飛び、ボロボロになったその秘蔵本を小脇に抱え、アレナ・メヒコやアレナ・コリセオなどルチャの聖地へ赴いたのでした。

本作をチョイスしたのはネタでもなんでもなく、子供の時から観たかった作品にようやく出逢えた喜びに溢れておるので御座います。

〜〜

オープニングから大興奮。
ブルー・デーモンを先頭に、ミル・マスカラスらテクニコ(ベビーフェイス)のスペル・エストレージャ達がネイキッドバイクで夜のメキシコシティを爆走。
科白が無いパートは全編ジャズナンバーが絶え間なく流れるのがミスマッチでクール。

お話はヒーロショー的なヤツ。
リング上と変わらぬ、いや延々と試合を見せるシークエンスがあったり(これが意外に渋くて今なお新鮮なムーブ)、アクションシーンは試合さながらでファンにとっては余計なことをされるよりも、むしろ見応えあり。

ブルー・デーモンは日本ではあまり知られていないが、かのエル・サントと双璧をなす伝説のルチャドール。
試合も見たことなければ、決してカッコイイとは言えぬ地味目のルックスなのだが、本作での落ち着いた言動とムーブでそのカリスマ性を充分感じられ満足。

マスカラスはお馴染みのマスクは付けていないが、ヒョウ柄マスクにヒョウ柄プルゾンでバイクを走らせるなど、ファッションセンス抜群。
見事な逆三角形ボディも美しい。
素顔はアラン・ドロン並みの男前と、子供の時に買った『プロレスアルバムVOL2ミルマスカラス
』にイラスト付きで載っていた。
もっとも試合となると自分の良いとこしか見せないため、レスラー仲間からは評判悪いと聞く(^^;;
これだけカッコ良ければ、その文句も無粋だが。

全盛期の初代佐山タイガー主演の角川映画があったなら、と妄想が膨らんだのでした。
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