九月

ダージリン急行の九月のレビュー・感想・評価

ダージリン急行(2007年製作の映画)
4.2
ウェス・アンダーソン監督の作品を観るのはこれがふたつめながら、全面にらしさを感じた。ウェス作品ではお馴染みの三人が兄弟役を演じていて、それぞれ全くタイプの異なる性格であったり、抱えている問題があったりする。
父親が亡くなり、疎遠になっていた彼らが電車に乗り込み、始めたインドの秘境での旅。

そんなホイットマン三兄弟の旅の行く末をただただ見守っているだけなのに、見ているこちらも、心を許している人と旅に出るような、のんびり落ち着いた気分になれた。
兄弟ならではのやりとりがあったり、三人いるからこそ二対一に分かれてややこしくなってしまったり、長男がやたらと仕切りたがったり、ちょっとしたやりとりが面白い。

視覚的にも内容的にも、終始ポップに描かれているものの、家族のことやそれぞれの人生のことについて急にシリアスになったりしてハッとさせられることも。

ちょっとめんどくさくて煙たく感じてしまった長男の言動は母親譲りであることが最後に分かって和むなど、旅を終える頃にはこの三兄弟が愛おしい存在に。
インドのエキゾチックでスパイシーな香りが漂ってきそうだったり、一緒に旅を楽しんだ気分。最後は心が軽くなったような爽快さがあった。
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