わたP

リトルトウキョー殺人課/リトルトーキョー殺人課のわたPのレビュー・感想・評価

1.5
キル・ビルもブラック・レインも間違ってる。これこそがリアルなジャパン、まさしくクールジャパンなのである。

10年ほど前から、「BLACK徒然草」というB級カルチャーを紹介しているブログを良く見ていたのだけど、そこでこの映画が紹介されているのを思い出して10年越しに鑑賞。
僕がわちゃわちゃと語るよりもそのブログを読んでいただいたほうが面白いので紹介しておきます。
http://ablackleaf.com/
(過去アーカイブにあります)

ストーリーはとても単純で、ケナーとジョニーという2人の刑事がロサンゼルスのリトルトーキョーを牛耳ろうとするジャパニーズヤクザを殲滅するお話。
オープニングは和彫りの入った筋骨隆々の肉体が暗闇に映し出されているシーンから始まります。間違いなく映画史に残るのではないでしょうか。この時点でただごとではないことがわかります。

ドルフ・ラングレン演じるケナー刑事は日本に住んでいたことがあるという設定で、時折を日本語を喋るのですけど、ほんとにもう、すごいです。さすがエクスペンダブルズ。

「オヤブンハダレダ」「ヨシダハドコダ」「アタラシイケイエイシャトハナセマスカ」
「ロサンゼルスノケイカンヲ フタリモコロスノハヨクナイ」
長文になるともう本当に何言ってるかわかりません。
個人的には食道の女将さんに「ゲンキデスヨ」とものすごく朗らかにいう所がツボです。

そして素晴らしい日本考察。冒頭、捕まえたヤクザの1人を尋問しますが口を割りません。そのうちヤクザは自ら首の骨を折って自害、ラングレン曰く「こいつらは名誉のためなら平気で命を捨てる」そうです。恐るべしジャパニーズヤクザ。クールジャパン。
その他にも切腹は黒装束で喉元に小刀というか脇差しの短いやつを当てています。ラングレン曰く「女性が恥辱を受けた時に行う」そうです。クール。
盆栽クラブという日本の娯楽の殿堂では白塗りの女が相撲をとっていたり、寿司が女体盛りで出てきます。ラングレン曰く「皿も生だ」そうです。クール。
ラングレンの自宅(別荘?)は日本邸宅で、引き戸を開けると手裏剣やボウガンや釵が入っていて、戸の裏には「けふこ えてあ」という謎のひらがなが書かれていますし、囲炉裏の上にこたつの骨組みだけを置いている暖房器具があります。すぐ暖まるらしいです。そしてラングレン曰く「俺が建てた」そうです。ベリークール。
このシーンですごいのは、邸宅の外にある五右衛門風呂にラングレンとヒロインが裸で混浴をするシーンがあります。ここで2人が親密になったことを描いているのかと思ったら、その後ヒロインが寝床にやってきてラブシーンが始まる。というのをもう一度やっているので、これは単純に日本では五右衛門風呂で平気で裸で混浴をする。ということかもしれません。すごいですね日本って。

語りだすと話は尽きないのですが、こんなにも日本をクールに描いた作品は無いのではないでしょうか。ラストサムライも硫黄島からの手紙も真っ青です。
久しぶりにBLACK徒然草を読んだので文体がものすごく影響を受けてしまって恥ずかしい限りですけれども、ぜひぜひ見ていただきたいです。

最後に、ラングレンの過去の悲劇の設定と回想シーンはキル・ビルのオーレン・イシイのエピソードそのものです(父親が進駐軍でヤクザに殺される)
タランティーノもきっとこれを見て日本を学んだのですね
わたP

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