掃除婦の女性と外国人労働者の男が出会って恋に落ちるも、周りからは痛い視線を投げつけられて...というお話
ポスタービジュアルの通り、構図の映画で驚いた。部屋の外から部屋の内部を映すことでドアのフレームによって画面は切り取られ、どこか閉塞感を覚える映像となる。これによって二人の不安げな心情を伝えると同時に観客自身が主人公二人のカップルに遠くから冷めた視線を投げつける映画内の登場人物と同化させられる役割を果たしていて面白い。基本的に顔の切り返しショットが多いのだが所々で二人を遠くから映すショットが入るのも間違いなく意図的なんだろうな。
外部的な存在と異質な存在に対して社会が抱える差別意識を描き出すと同時に自らが抱える内在的な差別意識とそれによるすれ違いまで描いているのが見事。常に胃がキリキリするし平気な顔をしながらも徐々に心を蝕まれていく二人の様子がかなり痛々しくてかなり辛かったが、確かに今になって再上映されて話題になる意味がよく分かる。