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オルフェの遺言-私に何故と問い給うな-のmumbleboyのレビュー・感想・評価

3.6
ジャン=ピエール・レオ出演作で検索して見つけた作品でした。以前、シュールレアリズム映像集的なものの上映を観た時にその中にジャン・コクトー作品も入っていた様な気がします。内容は覚えていませんが色々あった中で、比較的に良い作品だった気がします。ジャン・コクトーについてはそれくらいしか知識がないしこの映画のきっかけとなった「オルフェ」も観てないです。

正直に理解はできませんでしたが割と楽しく観れました。ジャン・コクトーについてもっと詳しかったり「オルフェ」の元ネタの神話などを読んでいたらもっとずっと深く理解できたのかなと思います。一番興味深かったのが映画というメディアによってあたかも現実世界を超越している様な存在になりうる、という様な話でした。確かに今こうやって映像を通してかなり昔に撮影したジャン・コクトーら出演者を見るという行為は映画に出ていない人よりも時空を超越しているとも言えるのかも知れません。その他の話は正直よくわからなかったのですが白黒の映像が美しくただ単に映像を観ているだけでも有意義な時間でした。ジャン・コクトーが自分自身として出ていて自分の絵画作品とか出したりして、こんなことをすればほとんどの作家がその傲慢さをさらけ出して作品も失敗するんじゃないかと思うけどこれが傲慢に感じないのはジャン・コクトーが本当に己を知っていて客観視もできたからなんじゃないかと思います。ただ何か物足りないと思って美しいヒロインがいたらすごく映えるんじゃないかと思いました。美しいい男性はいたので同性愛者のコクトーにとっては何も足りなくなかったのだと思います。ビジュアル的な作品だとやはりルックス重視してしまう自分にちょっと落胆します。今時ここまで大胆な長編実験映画が作られることも中々ないと思います。作られたとしてもこの時代のこの感じ、ジャン・コクトーという唯一無二なアーティストとあらゆる意味で2度と作られない貴重な作品かなと思います。
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