モールス

イン・ディス・ワールドのモールスのレビュー・感想・評価

イン・ディス・ワールド(2002年製作の映画)
4.0
ベルリン国際映画祭金熊賞作品の称号に恥じない力作でした。
本物の難民の若者と少年を出演させて、パキスタンからロンドンへの亡命の一部始終をドキュメントタッチで見せてくれます。ハンドカメラを使用していることもあり、臨場感は抜群です。それ故にいつ当局に捕まるか分からない緊張感と恐怖感も並みではありません。
自分の祖国に希望を見出だせずにロンドンに新境地を求める姿は、とても悲しく感じました。本作では子供たちがたくさん映し出されてましたが、アメリカの爆撃で命を落とした子供のことを考えると痛ましい気持ちになりました。
ロンドンへの道にはいくつもの困難が待ってました。偽造パスポートや闇ルートでの国境越えなど、バレないように息を潜める。信用できそうにない大人たちに亡命費用を託して誘導される。その不安は計り知れないほど大きかったことでしょう。
私は映画は娯楽であると思ってますが、世界の出来事を知る一つの媒体の役割も果たしてます。だから難民キャンプでの真実を知ることができる本作もその価値があるはずです。だか、「イン・ディス・ワールド」というタイトルはピッタリだと思いました。
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