幕のリア

グロリアの憂鬱/セックスとドラッグと殺人の幕のリアのレビュー・感想・評価

3.7
1984年アルモドバル初期作。

意匠美術にかける予算が充分でなく、その分登場人物のキャラクター濃度が高く、市井の人々の切実な変態性を、より鮮明に、よりコミカルに、より慈愛深く描いている。
音楽の使い方も、キッチュだったり、ペーソス溢れていたり、軽薄なお洒落さがなくて良い。

何作かアルモドバル作品を観て、他の欧州映画作品よりも表現への理解が進み易いと感じる。

アルモドバル作品への個人的な相性なのか、アルモドバルの日本人的思考回路を感じるのか、日本人とスペイン人の意外な親和性なのか。
宗教的信仰心が、より即物的で淡白な印象もあり、より親近感があるようにも感じるのだが、その点は不勉強故、課題解決は今後のアルモドバル作品の網羅に連れて。

剣道道場のモザイク無しシーン。
萎びた逸物が僅かの間お粗末なサイズで屹立してるように見えたのだが、何度も巻き戻すメリットはないし、ストーリーとしてはおかしいので、確実な検証作業は興味のある皆様に譲ります。

お婆ちゃんとお隣の売春姉さんがチャーミング。
憂鬱に晴れ間が射すようなエンディング、奇妙な感動がありました。

テレキネシス少女パートの演出や効果音が愛らしい。
アルモドバルの変態エスパー物見てみたい。
タイトルは「みんなエスパーにゃ」でどうでしょう⁈
幕のリア

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