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でっかいでっかい野郎のakrutmのレビュー・感想・評価

でっかいでっかい野郎(1969年製作の映画)
3.3
北九州を舞台に、保護司が院長をしている病院に世話になることになった無学で大酒飲みの男性・松次郎が繰り広げる騒動を描いた、野村芳太郎監督、渥美清主演による喜劇映画。『無法松の一生』がプロットのベースとして使われていて、映画の中でもそれになぞらえて主人公が二代目無法松と呼ばれている。

野村芳太郎監督と渥美清は何度もコラボしているが、本作の前年に公開された『白昼堂々』は渥美清主演の喜劇として最高の出来である(拝啓シリーズは未見)のに対して、本作はイマイチである。どことなく寅さんを彷彿とさせるキャラそのものは魅力的であるし、各場面での渥美清の演技は笑いを誘うが、場当たり的な展開に終始していて、映画全体として考えたときにストーリーとしてのまとまりに欠けている。例えば、この配役を見ると、渥美清演じる松次郎のマドンナ役は岩下志麻だと思ってしまうし、映画の最初のほうは確かにそうなのであるが、岩下志麻はそれほど渥美清と絡むことがないままに、松次郎の恋の相手がいつのまにか病院に事務員として勤める女性・友江に変わってしまう。ラストもちょっと中途半端。

友江を演じている中川加奈は、本作がデビュー作でありながらかなり重要な役柄を演じていて、それをちゃんとこなしている。美人とは言えないが、愛くるしい笑顔が魅力的である。(元々は倍賞千恵子が演じる予定であったとか。)松次郎に惚れる娼婦役の香山美子もグッド。
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