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Unrelated(原題)のakrutmのレビュー・感想・評価

Unrelated(原題)(2007年製作の映画)
3.7
イタリアのトスカーナで休暇を過ごしている友人家族のところに遊びに来た中年女性・アナが、友人の子供たちと仲良くなっていき、そのうちの一人の男性に惹かれていく姿を描いた、ジョアンナ・ホッグ監督の長編デビュー作となるドラマ映画。

一言で本作を言い表すと、イタい中年女性の物語ということになり、ジョアンナ・ホッグ監督自身があえてそこを狙ったかどうかは定かではないが、言い得て妙な「イタい」という形容そのものがジェンダー平等に反していると言える。それは、女性と男性を入れ替えて中年男性と若い女性という関係を描いたときに、イタいと表現されるかどうかを考えるとよいだろう。例えば、エリック・ロメール監督の『クレールの膝』は、中年男性が訪れた友人のヴァカンス先で若い女性に惹かれていくという作品であるが、この主人公をイタい男性とは表現しないだろう。(それ以上に膝フェチという主人公に気持ち悪さを覚える女性はいるかもしれないが。)

それでも単にイタい女性を描いているわけではなく、主人公アナがなぜ若者グループとばかりつるんでいるのかという理由が、一緒にヴァカンスに来る予定だった夫との携帯での会話からなんとなく推測できるようになるという構成は面白い。可哀想なくらいにイタすぎる後半は見どころでもある。でも、急に最後のほうで安易にまとめてしまったのは残念。最後までイタい女性のまま終わったほうがよかったのに。それにしても、親と子ほど年の離れた恋愛関係にない男女が、性に対する考えや体験をざっくばらんに話す姿は、日本ではあまり考えられないだけに新鮮。

トム・ヒドルストンの映画デビュー作という注目のされ方が多い中で、主人公のアナを演じたキャサリン・ワースの演技が本作の自然さを支えていると言って間違いない。舞台をメインにイギリスで活躍している女優さんらしい。なお、トム・ヒドルストンの実の妹であるエマ・ヒドルストンも、妹役ではないが出演している。
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