トムヤムクン

ことの次第のトムヤムクンのレビュー・感想・評価

ことの次第(1981年製作の映画)
5.0
初めて観た時は意識が朦朧としていたが、なんつー面白い映画だこれは。。。まず映画の撮影クルーや俳優達の話なのに開始早々に「フィルムもない、金もない」ってそんな。そういうわけで前半は撮影が一時中止になりリスボンの街で気怠く過ごすクルー達の群像劇風の物語。アクションで物語を前に進めていくスタイルとは全く違う、語るべき物語が宙づりにされて状況の中をグルグル、ぶらぶらと動いてる感じがなんとも堪らない。そしてカメラマンのおじいさんが言っていたように、モノクロの映像はいちいちキマっていて昇天しそうだ。前半だけでも一級品だがついに蒸発したプロデューサーを探しに主人公がロスへ飛んでからの終盤もノワールさをたたえていて痺れる。フォードやラングといったビッグネームへの敬意を示しながら、キャンピングカーの会話はヴェンダースなりのありふれた物語への決別の言葉か。そしておじいさんサミュエル・フラーだった!!不勉強を猛省します…
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