イトウモ

ことの次第のイトウモのレビュー・感想・評価

ことの次第(1981年製作の映画)
5.0
2023
まず全編ばっちり構図がキマッていることに驚く。それで「構図が綺麗な映画」というのでないのがすごい

フィルムが切れてリスボンの海辺で待ちぼうけをくらう撮影隊の暇つぶし以外にプロットがない。そのため、暇つぶしをする俳優、スタッフの面々を並列していくしかないところ、長回しでまったり撮ったりせず、短い構図のキマッたショットで重ねていく、なんとも潔い。
構図ゆえに成り立つ編集の映画
室内の裸体がこんなにすばらしいのを忘れていた。クライマックスにベッドに横たわるのが男なのもいい

海岸編、市街編とあって、
資金繰りでヤクザの金に手をつけ雲隠れしたプロデューサーを探して監督がLAに飛ぶところからやっと話が動き出す


2007
後半は『アルファヴィル』みたいなパロディの趣があって迫力深い、ラストで嫌になる。見えない敵に向かって銃のようにカメラを構える主人公。映画の、芸術の力を信じるポーズ、恥ずかしげもなく高らかに謳うヴェンダースのバカ正直さが嫌ハントケと別れると、後は恥ずかしいだけになる