烏丸メヰ

烏 カラスの烏丸メヰのネタバレレビュー・内容・結末

烏 カラス(2007年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

カラス好きとしての観たことあるよ記録。

ポスターや予告編に「ヒッチコックの名作を凌ぐ」とあるが、個人的にこの作品が『鳥』と異なる個性だと思えた箇所は
・CGをはじめ映像技術の進歩ならではの表現
・カラス(レイヴン)一種に特化し、元々嫌われ者の動物にモチーフを絞ることで人々の嫌悪や気味の悪さにうったえる質感
の二点。

カラス故に、というか、カラス達の異変にしっかりした原因を描いた事は、理由なきアニマルパニックだった『鳥』と比べて人によって好き嫌いが分かれるポイントかなと。

一応ミスリード誘発として出てくる、特定の教義に従う人々とかは味つけとして日本人の私には身近でないので残念ながらテイストが分かりかねる(ので、ここは★に反映させていない)。

鳥類なので猛獣やゾンビなどに比べたらアタックや残酷描写にどうしても限界があり、そこをストーリーや印象的なカットで補うようにして恐怖を形作っていた『鳥』と比べ(『鳥』があの時代の映画であるという伝説補整抜きで)弱く感じる。
特にミスリード要素のせいで“アニマルパニック”なのか“オカルティックホラー”なのか、みたいなブレが観る側にできてしまうのが、恐怖の種類の焦点を絞りにくい要因な気がする。

とは言え、力の入ったカラスの大群のシーンや、カラスの外見は生物そのままで、怪物然とした姿にいじらない所などは個人的には好み。

窓から見えるガソリンスタンド設備とか、死体の様子とか、色んな所にヒッチコックの『鳥』リスペクトは見てとれる。そして『鳥』にも出演していたロッド・テイラー氏も。
『鳥』のファンムービー的な側面をどうしても感じる。
しかしいかんせん、ファンムービーとしてはどうしても比較してしまうし、『鳥』を知らない・現代の様々なアニマルパニックものを観たことある層にはかなり物足りない作りになってしまっている感。


主人公と連絡をとる警察の女性のデスクに、ラブバードの鳥籠らしきオブジェがあったように記憶している。
小さいけれどこれも『鳥』リスペクト的な演出なのかな、という小ネタめいてて、何故かここだけすごく印象深かった。
烏丸メヰ

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