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ニースについてのpikaのレビュー・感想・評価

ニースについて(1930年製作の映画)
3.5
初ジャン・ヴィゴ。
これ面白い。
最初はただただ風景とかリゾートの客たちの映像が羅列してゆき面白味はないんだけど、なんだか飽きずにずっと見ていられる不思議な吸引力があり目が離せない。
人々や祭りなどを映しているところで突然意図的に手を加えたカットが入るインパクトたるや、ガラリと雰囲気が変わり映像に演出が見え始め、ジワジワとカメラワークの面白さや早回し、スローモーションやカットバックなど、個別に見れば単なる要素でしかない映像が調理によってご馳走にでも変わると言わんばかりに面白くなる。

ニースを体感させつつ、もしあなたがこの場にいたらこういうの見るよねみたいな共感を誘う目線のショットや、ただ見てるだけじゃつまんないよねみたいに「見ていて面白い」という映画の醍醐味的な表現が凄い。ニュース映画っつーよりシュールな狂騒コメディみたいな「作品」になっている。

これが完全無音であるのがまた凄くて、現代の「音声とカラーありき」では到底考えられないアイディアとエンタメ精神だなと感動した。
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