シネフィルmonk

悪徳のシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

悪徳(1955年製作の映画)
3.7
ブロードウェイの舞台劇をアルドリッチ監督が映画化、ハリウッドの内幕をシニカルに暴いた作品。製作会社との契約を解消しようとするハリウッドの俳優だが、製作会社の社長は彼の過去の不祥事の秘密を握っており、脅迫と懐柔の両面から彼を翻意させようとするが…。

舞台劇を映画用にしていることからも、ハリウッド俳優の豪邸がほぼ舞台でストーリーは進む。離婚危機にある妻との関係を取り戻し、自分の出演作を選びたい俳優に対して、ドル箱スターとの契約延長をなんとしても勝ち取りたい製作者側は恫喝を交えた交渉を行うなど、映画界の裏側が反骨の映画人、アルドリッチによって描かれる。大柄な体躯と悪役などで独特の存在感を放っていたジャック・パランスが、見た目と逆の心が揺れ動く気弱なスターを演じ、これが真に迫っていて興味深い作品でした。アルドリッチはカルト的人気のある前作『キッスで殺せ!』に続く監督作。
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