のっけから安定したボンクラっぷりでやらかしてくれるポーリー(今回は特に洒落にならん)、といつものようにちょっと人生がいい感じに回りだすと調子に乗って、「これはダメなパターン(キン肉スグル的)だ…」とお約束の展開で取り敢えずは安心。
だけど、これまでは微笑ましく見れていたロッキーの調子にノリっぷりも、本作ではちょっと本気で腹が立つレベル。お前そんな簡単にアポロのパンツ渡すなよ!
なだけに、途中の(これもお約束)のエイドリアンの説教シーンで思わず泣いてしまいましたよ、エイドリアンとジュニアに感情移入してしまって。その後のトニーの試合をテレビで観ながらのロッキーのアホっぽい感じで「やっぱり憎めん奴だ…」と思い直しましたが。何故か毎回前半のクソっぷりからは打って変わって後半になると突然まともになってくるポーリーも健在。だいたいロッキーの前に覚醒するポーリー。
まあ、ここまではある意味お約束的な展開なのでいいとして、こんな最後はないわ。幸い、この後『ファイナル』、『クリード』という名作が後に続いてくれたから良いものの、これでほんとに最後になっていたらと思うと恐ろしい。こんな最後はアポロもミッキーも望まない。
ロッキーシリーズは、憎たらしい相手でも相手側にもそれなりに正当化できる「戦う理由」があって、ただ勧善懲悪的に相手をぶっ倒してやったー! みたいなアホな展開ではないのが魅力なのに、これはただの暴力で力で解決してしまっている。トニーをただの「悪役」としてブチのめして終わりってあまりにもひどい。ここまでの作品には確実にあった勝ったシーンのカタルシスが全く感じられません。作品の歴史を振り返ったエンドロールも、モヤモヤした気持ちを抱えたまま流れてくるのでいまいち感動できません。