スタンリー・キューブリック監督によって製作された1957年のアメリカ映画
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まだ無名に等しかった時代のキューブリックによる戦争映画の秀作。後のキューブリック作品のような難解なものではなく、腐敗した軍上層部によって、不当な扱いを受ける兵士を描いている。ダメな上司に迷惑をかけられる部下という、いつの時代も変わらないテーマだ。
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ハンフリー・コップの原作をジム・トンプソンが脚色したものが基になっているのだが、キューブリックが手柄を独り占めにし、キューブリックが脚本を受け狙いの内容に変えたことで主演のカーク・ダグラスともめた。キューブリックがカーク・ダグラスの悪口を言いまくり、自分の功績を主張したことで、関係者を敵に回した。
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大スターだったカーク・ダグラスが無名のキューブリックにチャンスを与えた形であった「突撃」と「スパルタカス」だが、2人の仲は決裂し、アメリカにいづらくなったキューブリックはイギリスに渡った。監督なんて我が強いものだけど、キューブリックの我の強さはあまりにもひどかったようだ。後に製作から全部自分でやるようなったから、もめ事も減っただろう。
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このように作品には見えない裏側ではいろいろあったみたいだが、作品としては評価が高い。フランス軍が英語で話していて、カーク・ダグラスも全くフランス人に見えないけど、1957年の作品にそこまで求めるのも酷だ。いろいろあったとはいえ、やはり脚本が素晴らしい作品だと思う。