突撃の作品情報・感想・評価

「突撃」に投稿された感想・評価

8

8の感想・評価

4.0
ダックス大佐は軍の中では中間管理職的な立ち位置であり、それ故の葛藤もあるけれど部下を思い、ユーモアを持って必死に食い下がる。その姿がかっこよかったです。

無謀な作戦に不服ながらも部隊の先頭に立ち、まさに「突撃」する勇敢さはこの物語で一番印象に残りました。

人の命の優先度が1番ではない軍の不条理を描いた、モノクロ映画ながらも素晴らしい作品だと思います。
尾木

尾木の感想・評価

3.8
敬愛するキューブリック監督の初期作。

彼の才能が完全に開花しているとは言えないが、弱冠29歳にして十分なセンス。
既に構図や音楽にらしさがでている。

フルメタルジャケット同様、現場での激しい戦闘とそこから一歩引いた場でのある意味激しい闘いを前後半分けて描くのが印象的。

心に残るセリフもあり、反戦映画としても、我々の人間関係への皮肉としても素晴らしい出来の作品だと思います。
非常に薄っぺらい感想になってしまうけど考えさせられる映画だった。

組織の腐敗は特に戦時下において酷いものであり画面の演出にもあらわれている
誰が味方で誰が敵かが分かりづらいカメラワークとかドイツ軍が明確に出てこないこととか。

戦争映画の知識が浅いので解説観ないと分からないことが多かった。
初見で知識が浅い人は人が進む向き、向いている向きに注目
「1915年、パリに侵攻せんとするドイツ軍とフランス軍との間では激しい塹壕戦が繰り広げられ、膠着状態に陥っていた。」というナレーションで映画ははじまる。後のキューブリックからすればかなり違和感のあるオープニングである。

…キューブリックの作品の最大の魅力のひとつは「謎」の提示にある。あるいはそれを難解もしくは曖昧性と言ってもいいかも知れない。キューブリックの映画は映画という形式を露骨に操作してイデオロギーを打ち出すものではない。彼の映画は「真の思想、力ある思想というのは非常に多くの側面を持っているものであり、真っ正面から攻撃を加えても無駄である。思想は観客が自分で発見するものだ。自分で発見したことのかいかんがその思想をいっそう力強いものにするのだ。」という彼の信念をそのまま体現している。
難解という言葉の裏には必ず答えがある、キューブリックが言いたいことは映画にすべて映っているとは限らない。我々はその原作を読んだり、監督自身が語っていることを参考にして、作者が言わんとすることを追究していけばいいのだ。
そして、そこからはじき出された「答え」に対して、初めて我々は形而上的な自分なりの解釈をすることが許される。

…最初にナレーションが入るというキューブリックの親切さはラストまで続く。
ストーリー展開は役者の言動のやりとりで運び、わかりやすいものになっている。そういう意味では、あらかじめ設定されたテーマ・思想に沿ってバイアスが掛けられている。

フランス軍の軍団長ブルラール将軍は師団長のミロー将軍に、ドイツ軍の難攻不落の陣地、俗称“アリ塚”を48時間以内に陥落するよう命令を下す。昇進をほのめかされたミロー将軍は、命令を受諾する
。さっそく連隊長のダックス大佐(カーク・ダグラス)を呼び出し、突撃を命じるのであった。しかし、当作戦は明らかには無謀であり、いたずらに死者を量産するだけだとダックス大佐は抗議するもしかしミロー将軍は聞く耳を持たない。結果、“アリ塚”への攻撃は、ダックス大佐の奮闘むなしく、多くの犠牲者を出して敗戦。当然の如く、作戦の責任問題が勃発することとなる。ところが、あろうことかミロー将軍は、敗退の原因を兵士の敵前逃亡とし、各中隊から1名ずつ計3名の兵士を見せしめとして軍法会議にかけ、銃殺する旨を決定。元弁護士であるダックス大佐は怒りに震え、上層部を敵に回して、3人の弁護に立つことを決意する。
軍法会議判事は事務的に裁判を進めた。ダックスは民間では弁護士だったが、この裁判の判決は最初から決まっているのだ。弁明の機会も充分に与えられず、証人も認められない。
最後にダックスは力説した。「昨日の攻撃は、フランスの恥ではない。兵士の不名誉でもない。だが、この軍事法廷こそ汚点であり、恥だ。正義を笑いものにした茶番だ。この兵士たちを有罪とする者は犯罪者であり、その罪は死ぬまでつきまとう・・・被告に慈悲を・・・」

判決は予想通り有罪、銃殺刑と決まった。

翌朝。3人は広場に出された。両側に兵が立ち並ぶ中を歩いていく。ミロー将軍、ブルラール将軍の姿もある。ダックスも3人を見つめている。
数十人の銃殺隊が並び号令が発せられた。銃殺刑は瞬時に終わった。


…「将軍の仕事をやらんか」、ブルラール将軍がダックスに言った。ダックスは即座に断った。
「昇進を逃がすとは・・・」
「昇進をエサにするんですか!」 「大佐!謝らんと逮捕するぞ!」
ダックスは開き直った。「あなたは堕落しきったサド老人だ!何が謝れだ、地獄に落ちろ!」

ダックスが兵舎に戻ろうとすると酒場からざわめきが聞こえてきた。酒場では部屋を埋め尽くした兵隊たちが今しも始まる捕虜のユダヤ女のショーを見ているのだった。
ユダヤ女が頼りなく歌い始める。やがて歌声に聞き入っていた兵士たちは一人二人と共に歌い始めた。涙が頬を伝う。酒場全体の合唱になっていった。
ダックスは外で聞いていた。伝令の兵士がやって来る。「前線に復帰せよとのことです。」 ダックスはそれを制した。「もう少し待ってやれ」

…どうだろう、とても分かり易いストーリーだ。テーマが余りにも明白に過ぎる。
戦場という現場を舞台にしているのではなく、組織の持つ不条理な成り立ちを描くことで、反戦を謳っている。
そして、それは戦争という特殊なシチュエーションを越えて、政治、経済という社会を動かす機能にも当てはまる普遍的なものでもある。
キューブリックは叙情性豊かに、この物語を閉じる。ここにキューブリックの本来持ち得るヒューマニズムを垣間見ることができるのだ。

ただ、後に観られる数々の映像スタイルの萌芽を見ることもできる。

3人の受刑者が、歩く中庭の両端に整然と居並ぶ兵士たちが、醸し出す強固な圧力をイメージさせる不気味なシンメトリー。
迷路のような塹壕を這うようにカメラが、パンしていくシークエンスはシャイニングの雪の迷路を想起させる。
キューブリックはこの後、カークダグラスの推薦で「スパルタカス」を撮るが、職人監督を余儀無くされたキューブリックは、その後ハリウッドシステムから離れ、イギリスに居を構え自身のプロダクションで映画作りをすることになる。
yadakor

yadakorの感想・評価

4.0
1957年前後のアカデミー賞取るような映画の制作費だいたい数百万ドルなのに対してこれは100万ドル弱らしく、たしかにセットっぽさ、チープさはある
が、bgmの使い方、不気味な間などキューブリックらしさがある
軍人の行進は割とダラダラしてて、ハートマン軍曹が怒り出しそうだね
米軍にすると批判が怖かったのかな、それだけ残念だ
ハマオ

ハマオの感想・評価

5.0
軍隊や戦争の理不尽どころか、世の中の理不尽まで詰め込んできている
戦争映画で、「この世界の片隅に」と同じような方向性で
かつ違うアプローチで作品を進めたような戦争映画です。

徹底したコンセプトにより描かれた映画でかつキューブリック作品でも
かなり初心者向けで、2001年宇宙の旅よりもまずはこの映画から
キューブリック映画を見始めた方が良いと思います。

この映画で特に印象的な場面は、塹壕の中を延々と歩く軍人を流れるようなカメラでとらえた場面である。後年の『シャイニング』ほどではないが、流麗な映像が美しい。 

ラストの処刑場面も、キューブリックの冷徹な視線でとらえたシーンとなっており、あっさりとしている。 

歌を歌う女性の場面は冗長であるが、後日キューブリックの妻となる女優であるから、その点はキューブリックの「情」が含まれた感がある。
うめ

うめの感想・評価

3.8
第一次世界大戦のフランス軍。
将校は自分の名誉と出世の為の駆け引きにとらわれ、前線で血を流す兵士を省みる事はない。
苦しむ死傷者の数も、彼等には只の数字でしかないのだ。
そして、現場でも同じような不条理は起こっている。
カーク・ダグラス演じる前線の指揮官ダックス大佐の葛藤と決断。

「フルメタルジャケット」に比べれば、シンプルで硬派な作りとはいえ…
やはりキューブリック。

「ドイツの弾が嫌なら、フランスの弾を喰らわせてやる」
心をえぐってくるセリフ。
戦争の虚しさ。
極限状態におかれた人間の狂気。
観る方の気持ちをとことん追い詰めてくる過酷さ。
そこに加わるブラックユーモア。
このバランス感覚、凄すぎる。
最後まで心を放さない展開。


戦争だけに限らずこの世に溢れる理不尽さ。
キューブリックのメッセージは、刺激的でいつの時代にも古びない。
第一次世界大戦フランス軍
明らかに不可能だと分かっている命令を遂行できなくて、罰として兵士を選んで見せしめで処刑される。
こんなことあってたまるか!!
戦争は外部でも内部でも起こっているんだなと感じた。

「ドイツの弾が嫌ならフランス軍の弾だ」
「彼らの血管には乳が流れとる」
皮肉が効いた台詞が印象的

ただフランス軍が英語喋ってたのは残念ッ
ず

ずの感想・評価

3.5

最近全然映画観られてなかったー。やっと観られたけど、当分戦争映画多めになりそうです。その他の部分で22歳女の子らしく生きるぞ。

キューブリックの作品は最近に近くなるにつれてどんどん難解になっていくらしいけど、この作品はとってもシンプルな構造で私でもわかりやすく観られました。めちゃくちゃ好みドンピシャ!みたいなわけでは無いけど。。
尺感もいい。フランス人が英語を話すのは少しオヨヨ……ってなったけど、古い作品なので仕方ないのかな。

第一次世界大戦時のフランス軍を描いた作品。指令を遂行できず、見せしめの刑にさらされる兵士を選んで。反戦映画なんだろうけど、内部的な視点でエゴの表出具合が気持ち悪い映画。血みどろ系ではなかったかな。刑にさらされた時も結構一瞬だったし、精神的な動きにずっとフォーカスしてる分視覚的にドッと疲れることもないので見やすい。
前に観た「戦争のはらわた」もそうだったけど、「自分は前線に立たないで机上で偉そうなことばっか言ってる系の人」のネガキャンみたいの入ってくるのあるあるなのかなぁ。内部のドロドロ感がよく伝わるエピソードだと思う。むやみやたらに戦ってるんじゃない。

ただ、この不条理は、現代の組織の縮図でもある気がした。そこをピシャリと突かれた感じがしたのが、気持ち悪いけどやっぱりすごい作品なんだなと感じた一因。
不条理、不条理、不条理。従うしかない状況は、今も作られ続けてる。自分も兵士。
>|