娘に疎まれつつ、人助けに邁進する世話焼きママ。夫亡き後、持て余した時間とお金を他人のために費やしていく彼女を追う中で、スーザン・サランドンの声は憂いを含み、どこに居てもふわふわと漂っている感じが気になる。そこがキュートでもあるけれど。現実から逃げているのは娘ではなく母ではないか。もしや夫の死には何かあるのではないか。やがて出会った素敵な男（ハーレイに乗り美声で弾き語りするJKシモンズ！）にも何か裏が…。などと深読みしてしまった自分は心が汚れてるのかもしれない。
けど、優しく温かいトーンの中にロマンティックで幸福な場面ばかりでなく、いささか不運な（残念な）場面が混ざり込んでいて、どうも落ち着かない。LAとNY、TVドラマ撮影と連続殺人事件のニュウス。頭に流れる甘いポップソングと、目玉焼きトーストを作りながら流れる「ゾルバ」。iPhoneとまさかの黒電話。辛い現実と明るい予兆が行き来しながら、やたら想像させる。エンドロールの入り方まで、ちょっと不思議なニュアンスを醸す映画だった。
