はなちゃん

コントラクト・キラーのはなちゃんのレビュー・感想・評価

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)
4.0
淡々と無口に語られる不幸な男の復活劇。

長年勤めたロンドンの水道局から解雇された生真面目過ぎるフランス人の主人公。絶望のあまり自身の殺人依頼をしてしまうが、おそらくは初めて入ったバーで「酒、煙草、女」に出会う。3つ揃えば男は楽しくなるのか、この出会いで人生が突然色鮮やかに。

主人公は「生きる事」に目覚めて殺し屋から逃げ回る。身勝手だがこのヒロインの美女ぶりならば仕方ない。

殺し屋の側にも諸事情があり、何だかんだですれ違って命拾いしていくカウリスマキ的展開に笑える。最初にバーに入った時点で運命が逆回転。生きる事に真っ直ぐな主人公にはいつも監督の優しい眼差しが向けられる。ヒロインの儚げだが芯のある美しさが、生と死の境目にある主人公を救っている。

アキ•カウリスマキ監督の独特のユーモアと色彩センスには毎度見惚れる。80分程度でまとめてあるのも良きです。
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