5月29日は戦後のヨーロッパ映画を代表する大女優ロミー・シュナイダーの没後35年に当たります。
16歳で一躍ドイツ映画界のトップスターに躍り出た栄光。
アラン・ドロンとの熱愛と破局。
女優としての転落と復活。
2度の離婚、夫の自殺や愛する息子の事故死、自身の薬物中毒など、
あらゆる不幸に見舞われながら43歳の若さで生涯を終えたロミー・シュナイダー。
祖国ドイツを捨ててまでも、愛するドロンのためにフランスまで追い掛けたロミーでしたが、ドロンはその後ナタリー・ドロンに鞍替えして結婚。
仕事も次第に減っていき、公私共々辛い時期を経験したロミー。
そんな彼女を救ったのは、奇しくも本作「太陽が知っている」で主人公の相手役に指名してきた元彼ドロンでした。
かつて「恋ひとすじに」で無名のドロンを一躍有名にさせたロミーは、
自分を捨てた元彼のお陰で再び女優としてカムバックを果たすことができたのです。
南仏でバカンスを楽しむ二人の元へ、元彼とその娘が訪れることで生まれる複雑な四角関係。
元彼を演じたモーリス・ロネはドロンの代表作「太陽がいっぱい」以来のライバル共演であり、しかもロミーもこっそりカメオ出演しているという由縁もあったり。
オープニングシークエンスの素晴らしさ、プール沿いで戯れる官能的な二人、そしてドロンとロミーの関係性だからこそ生まれるリアリティー、秀逸なカメラワーク、ミシェル・ルグランによる粒揃いのスコア、疾走する赤いマセラティなど、名画の貫禄を漂わせた本作。
この二人の崩れてゆく関係性とラストまでのシナリオは、成就できなかったドロンからロミーへの、せめてもの思いが反映されているかのよう。
二人はその後も「暗殺者のメロディー」にて再共演したり、ドロンがヴィスコンティ監督に引き合わせたお陰でロミーは「ルートヴィヒ」にて再びシシー役を獲たり、結ばれずとも強い影響を与え合いました。
ちなみに今日は「ルートヴィヒ」にてロミーと共演したヘルムート・バーガーの73歳のお誕生日でもあったり。
つい最近、次回作での引退を宣言したアラン・ドロンですが、彼の美貌とセクシーさもやはり必見。