「テンポ良くて結構笑えるけど・・・まあ深く考えずに楽しみましょう」
花粉症の為に1カ月で海兵隊を除隊された主人公が、酒場で親切にした海兵隊員6人に、かつがれて、海兵隊英雄として故郷に凱旋するハメに。
帰郷すると駅には、市長や町の名士を始めとする多くの人が待ち構えて、同行した海兵隊軍曹のデタラメ話で、どんどん嘘が大きくなり市長選に立候補させられるなど、結構笑えるが、色々疑問ある。
1944年製作なので、当然日本と戦争中で、ジャツプネタが多くて、街中のあちこちに戦意高揚ポスターが貼られて、戦場での活躍もファンタジーの様な感覚で語られる。
海兵隊協力の賛歌映画と思ったが、その面は薄くて、基本的に、お調子者として描かれてる。
なんせ冒頭、海兵隊員が文無しで酒場に入り6人で1杯のビールを分け合うところなどがあり、戦意高揚には貢献しない描写が多め。
どちらかと言えば白雪姫に出てくる7人の小人の様な扱い。
海兵隊協力の「硫黄島の砂」やイーストウッド監督で海兵隊の激闘を描いた「父親たちの星条旗」を観てしまうと、昔の映画とはいえ、この扱いは、牧歌的過ぎると思う。
監督のプレストン・スタージェスは、1930年から40年代にコメディの名手として活躍したが、日本だと未公開も多くて、30年ぐらい前から突如、日本で再評価されて、有名になった印象。
聞くところによるとこの映画、公開当時は、興行出来るにも失敗したらしい。
多分ビリーワイルダー好きの三谷幸喜も影響受けていると思う。
テンポ良く進む演出とギャグコメディとしての完成度も高い映画なので、まあ深く考えずに楽しむのもアリ。
そういえば、プレストンが日本で再評価された時期に同じスタージェスでも活劇娯楽のジョン・スタージェス監督を、プレストンと比較して、コケにする評論家や映画ファンがいて、何でそんな事言うかなと思う。
ジョン・スタージェス監督は、プレストンと比較しても遜色ないと思う。
ここから関係ない話し
話しが逸れるけど、「ブラボー砦の危機脱出」や「ゴーストタウンの決闘」で鋭角に画面から降ってくる先鋭的弓矢描写。VRの元祖
「日本人の勲章」や「鷲は舞い降りた」でのヘイトや全体主義への抵抗。
「荒野の七人」での日本映画への評価に貢献して、その後の大スターを育てた手腕。
ともかく面白い「大脱走」のスリルと爽快感と苦味。
そういえば、「ローマ」でアカデミー賞を取ったアルフォンゾ・キュアロン監督は、スタージェスの「宇宙からの脱出」に影響を受けてるくらいだから。