takanoひねもすのたり

ロバート・アルトマンのイメージズのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.9
アルトマンのサイコ物な作品、再鑑賞。

ある夜に夫の浮気を仄めかす奇妙な電話を受けたことで幻覚と被害妄想に襲われる児童文学作家のキャサリン(スザンナ・ヨーク)の話。

久しぶりに観たアルトマン監督作。
冒頭の電話のシーンから違和がすごい、リッチな家とはいえ電話機が何台も。この辺、彼女が既に何か逃れられない強迫観念に駆られてる演出なんだろうかと思ったり。
序盤のドッペルゲンガーの表現も面白い(高台に立つ本人が遥か下に位置する別荘に入る自分を観察してる風)
アイルランドの寒々しい風景がとてもマッチしていると思う、三面鏡に映るキャサリンの姿と、彼女の目の前に現れる幻覚の男性達。
現実にひょっこり現れる異質さが鋭くて、こちらの認識をぐらぐらさせてくる演出と音楽。時折尺八?のようなスコアが神経を逆なでしてくる感触がある。
ラスト近くの滝のシーンは、ロングで落ちてくるある物の動きを捉えてるだけなのに何故かひやりとした怖さを感じる。

処女にしか手懐けられないというユニコーンを題材にした作品を執筆中という背景も、キャサリンの過去が判明してくると、そりゃまあコントロールし難かろうと思う。

こういう、自分の視認情報が頼りなくなる感じになる作品って意外と巡り合わないので、お気に入りな作品。