Yukiko

牛泥棒のYukikoのレビュー・感想・評価

牛泥棒(1943年製作の映画)
3.9
2022年5月20日   NHKBS放送放映
『牛泥棒』  1943年アメリカ制作
監督、ウィリアム・A・ウェルマン。

1885年、ネバダ州のある町。
その町にやってくるギル・カーター(ヘンリー・フォンダ)
とアート・クロフトの二人。
その町の牧場主が殺され、牛が奪われる事件が起きた。
町の男達が自警団を組織し、犯人捜しに出かける。
カーターとクロフトの二人も、自警団の犯人捜しに参加を
する。
そして、道中、牛を連れた3人衆に出会い、自警団の男達は
犯人として捕らえ、自分たちで裁こうとする。


集団心理。

タイトルが牛泥棒となっているけれど、牛を盗む場面は
なくて、事件を知った男たちの心理行動、集団としてど
のように考え、行動していくか、という話。

反対意見の人もいるけれど、多数派の意見に負けて、
押し切られてしまう。

集団で犯人扱いされて、いくら、無実だと言っても、
聞いてもらえない。
そして、私刑(リンチ)で裁きを行おうとする。

だが、ラスト・・・・・・

マーティンの手紙の内容がいいね。

私刑を「リンチ」と言うようになった、その理由は以下。

:::::::::::::::::::::::::::

<私刑>    Wikipediaより転記
私刑は、熱狂・ヒステリー状態下にあるものを含め、
観衆・集団のある程度の支持のもとに、なされる場合がある。
民族紛争の際に、民兵集団により行われる非戦闘員への
残虐行為も私刑と言える。

中性以前のヨーロッパでは、フェーデやアハトのような
私刑原理があり、合法であった。
しかし、1400年代になり、公権力による刑罰権の回収が
行われると私刑は違法になった。
ドイツでは、1495年、マクシミリアン1世による「ラント
平和令」の制定によって一切の私刑が禁止された。

アメリカ合衆国の西部開拓時代、フロンティアの地などでの
犯罪者に対し、法の裁きを経ず、民衆による私刑制裁が
加えられており、
この行為を、アメリカ独立戦争時、暴力行為を働くことで
知られたチャールズ・リンチ大佐、ウィリアム・リンチ判事
に因み、「リンチ」と呼称するようになった。

南北戦争以前において、私刑は治安や秩序維持の為に
行われるものとされ、素行の悪い奴隷や共同体の規範を
逸脱するものに対し、民衆の自警団によって行われるもの
であった。
その後、白人至上主義のKKKが結成され、アフリカ系
アメリカ人を対象に私刑を率先して行う役割を持ち、
リンチの持つ意味が秩序統制から異人種憎悪の表現へと
変化していった。

法律に依らない私刑は、多くの国家で禁止されている。

フェーデ: 中世初期においてはフェーデは一種の決闘で
あり、決まった場所・決まった時間に全く武力に頼って
決着された。
フェーデを行なう時は場所・日時をしかるべき形式の
果たし状として公開し、無関係の者が巻き込まれるのを
防がなければならなかった。

アハト: アハト刑に処せられた者は、帝国内における
全ての法的権利や財産を剥奪される。
受刑者は基本的に死人とみなされ、誰との交流もできず、
援助もされない。
恩赦によってのみ救済され得る過酷な刑罰であった。

ラント平和令:ラント平和令(Landfrieden)とは、
中世ドイツにおいてフェーデの制限・禁止を発したもの。


日本国憲法においては、
「何人とも、法律の定める手続きによらなければ、
その生命、若しくは自由を奪われ、又はその他の
刑罰を科せられない。(日本高憲法第31条)」
・・・となっている。
Yukiko

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