「つばさ」(1927)「民衆の敵」(1931)のウィリアム・A・ウェルマン監督が、西部を舞台に冤罪事件を描いた衝撃作。ピーター・フォンダ主演。
ネバダ州の小さな町に、牧場主が殺され牛が盗まれたという噂が入る。保安官が不在だったため町の男たちは自警団を組み犯人を捜しに出る。やがて牛を連れて野宿している3人の男を発見。彼らは無実を主張するが、自警団の大半は正義の名のもとにその場で処刑しようとする。しかし、正当な裁判を経るべきだと主張する声があがり。。。
「民衆の敵」も衝撃的だったが、本作も容赦のない語り口に震えた。遵法精神を説く以上に、集団ヒステリーと同調圧力の恐怖が描かれているように感じた。古い昔の設定ではあるが、いじめやネットリンチなど人間の愚かさは変わっていない。
※冤罪をかけられたもうろく爺さんを演じたのはジョン・フォード監督の兄、フランシス・フォード。
※自警団に参加した女性は「怒りの葡萄」(1939)で母親役を演じたジェーン・ダーウェル。