広島カップ

にっぽん泥棒物語の広島カップのレビュー・感想・評価

にっぽん泥棒物語(1965年製作の映画)
3.9
三鷹事件と下山事件、そして本作のモチーフとして使われた松川事件の三つは1949年に起きた戦後の「国鉄三大ミステリー事件」と言われる。そのうち松川事件は東北本線列車往来妨害事件で戦後最大の冤罪事件らしい。
列車を脱線転覆させたとして逮捕された20名が冤罪とされた事件。

土蔵破りと偽歯医者を生業とする福島に住む男(三國連太郎)が、その事件の時間に犯人と思われる人物達と夜中の線路上で遭遇してしまうことで苦悩する姿を描く。

松川事件を題材にし、それに関わりを持った為に法廷で真実を話すべきか?苦悩する田舎の泥棒を演った三國連太郎が素晴らしい。
また脚本(高岩肇、武田敦)も見事で、男が法廷で警察に向けて発した「嘘つきは泥棒の始まり」という言葉。小さい時に親にさんざん言われた諺がラストの法廷のシーンで生きている。

ちなみに監督の山本薩夫は本作の四年前に事件そのものを取り上げた『松川事件』(1961)を撮っている。
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