バナバナ

サン・ジャックへの道のバナバナのレビュー・感想・評価

サン・ジャックへの道(2005年製作の映画)
3.5
フランスからスペインの西海岸まで巡礼する、3カ月のトラッキングツアーに参加した、老若男女9人の話。
まんま四国のお遍路さんを少人数のツアーで行く感じです。

この9人の中に、親の遺産を相続する条件の為に、この巡礼に参加している3姉弟が居るのですが、この兄弟が仲が悪くて、常に口喧嘩してます。
同じツアーの参加者にしてみれば、せっかく巡礼の旅に参加したのに、
絶えず喧嘩を聞かされるのは、かなり辛い。
私は特に、三兄弟の姉の女性教師みたいな、思った事がすぐ口から出てしまうタイプの人は苦手なんですが、
この人も皆で長く一緒に旅をするうちに良いところが見えてきます。

最初は年齢も性別も宗教もバラバラで、全く価値観も合わなかった人達が、
3ヵ月も自然をひたすら歩く過酷な旅をする事で、自分の殻を覆っていた険などの余計なものが取れて、だんだんその人がもって生まれた素が出てくるんですね。
最後には、まるで家族の様に、このチームに信頼と情が生まれていく様子が描かれています。
巡礼とは、自分を素に戻す作業だと思うので、理に適ったストーリーだと思いました。

このツアーには、イスラム教徒の青年達も不純な動機で参加しているのですが、
日本人はほぼ仏教徒で、海外の教会や寺院を見学するのが好きな人が多いですが、
イスラム教徒も、キリスト教の教会に入っても宗教的にお咎めないんですね(ちょっとびっくりした)。

日本の高野山の宿坊が、安く泊まれるので外国人に人気があるそうですが、
普通のホテルだと思って泊まりにくる客が多く、結果、頓珍漢なクレームも多くて寺院が困っていると聞きます。
外国人の中でも、仏、伊、スペイン辺りの人は、こういう巡礼で宿坊が存在するから、クレームは言わなそうだけど、どうかな?。

フランスは農業国だけあって、広大な平原があるんですね。
景色を見るだけでも楽しめました。
全体的には散漫な描き方だったけど、このユルさがちょうど良かったです。
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