刑務所で仲間だったエミールとルイは脱獄を企てるが、ルイだけが成功する。その後刑期を終えたエミールは一目惚れした女性が働く工場に勤め始めるが、その会社の社長はルイだった。2人は雇用者と労働者の立場を超えて友情を取り戻すが......。
サイレントからトーキーへの過渡期あたりの作品で、トーキーで物語を進めつつサイレントでギャグをやってちょいちょいミュージカルにもなるという折衷が今観ると新鮮で面白かったです。
建ち並ぶ煙突から排出される黒煙や、無機質な工場の建物、ベルトコンベアでの流れ作業などの無機質な映像が美しく、サイレントのギャグとして整然とした無機質さを崩す描写が多用されています。
また第2の主役であるルイが社長としては工場の機械化を進めるのに対し、友人のエミールといる時は子供みたいにきゃっきゃしてる(ここが可愛い)とこからも、機械と人間とか、効率化と人間性とかの対比を強く感じます。
その上でああいう結末になるのが好き。社会風刺っぽさもありつつ、あのラストシーンはもうシンプルに人間讃歌のようにも感じます。
というか、この時代に恋愛よりも男の友情が断然印象的な作品というのも珍しそうな気がします。エモい。