櫻イミト

自由を我等にの櫻イミトのレビュー・感想・評価

自由を我等に(1931年製作の映画)
3.5
「巴里の屋根の下」(1930)のルネ・クレール監督が翌年制作した楽しい詩的レアリスム作品。「モダン・タイムス」(1936)の元ネタと言われ、著作権侵害で告訴騒ぎになったエピソードも有名。第1回ヴェネツィア国際映画祭での最高賞。

刑務所の二人部屋に収容されているルイ(レイモン・コルディ)とエミール(アンリ・マルシャン)は、ある日窓格子を切って脱獄を計るがバレてしまい、エミールはルイだけを逃がす。ルイは商才を発揮して蓄音機会社の社長にのし上がる。その後、エミール(アンリ・マルシャン)は偶然にもルイの経営する工場で働くこととなりそこの女子社員に一目惚れしてしまう。。。

ペーソスと社会風刺のきいた抒情コメディ。刑務所の作業も工場のオートメーション作業も同一線上にあり”自由”ではないという風刺が、ユニークな映像と物語で語られる。微笑ましい二人の友情はフランス映画的。一種のバディムービーであり、そこがチャップリンとは違うところ。コメディもフィルム・ノワールも、フランスとアメリカの違いは友愛主義と個人主義の違いかもとあらためて感じた。
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