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フレンチ・コネクションのbeachboss114のレビュー・感想・評価

フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)
5.0
面白い刑事モノなんて山ほどあるのに、何度でも見たくなるのは、この作品ぐらいか。

理由は「キャラクターへの共感」に尽きる。

「叩き上げ」ならではの意地と矜持、経験に基づく勘と推理、効率的ではないが地道かつ着実な解決力、決してあきらめない粘り強さ、洗練とは程遠いが緻密で地味で丁寧な捜査手法、考える前に動く体、ペース配分なんてクソ食らえな全力疾走。

そして、「悪いヤツを捕まえる」というシンプルなモチベーションに基づく並外れた行動力と執念。

追う。ただひたすら追いかける。見失っても、あの手この手で見つけ出して追い詰める。足を引っ張る連中も蹴散らしながら驀進する。

要するに、決してヒーローでも聖人でもない、スーパー中年アナログ刑事の「ケッタクソ」に共感してしまうわけで。

そして、ほぼオール・ロケによる街の呼吸と肌触りが、地に足ついた「ザ・捜査」の醍醐味を堪能させてくれる。

この映画の看板とも言える後半のカーチェイスはもちろんなんだけど、何度見ても飽きないのは、中盤の尾行対決。お互いに裏をかこうとする丁々発止が実にスリリング。

続編も切れ味良くて面白かったし(特にエンディング)、そっちも見ておかないと本作の結末のモヤモヤが解消されないのだが、改めて通しで見ると、その歴然とした差に気づかされる。

続編の方は、お話としては面白いものの、作りは意外と通俗的でありきたり。要するに、よくある刑事モノ。対する一作目は、テクニックや実験精神という点でも全く古びておらず、映画史的にも重要なポジションに位置付けられる。

端的に言えば「アナログ世代最強の刑事ドラマ」ってことでいいんじゃないかな。
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