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ストーミー・ウェザーのくりふのレビュー・感想・評価

ストーミー・ウェザー(1943年製作の映画)
3.5
【黒き戦中エンタメ詰め合わせ】

本作の出自は(当時)最近知って興味湧いたのですが、偶然先日、DVD発売&レンタルが始まったので借りて来ました。

1943年作、オール黒人キャストによる、当時のパフォーマーをぎゅっと詰め込み走り抜けたミュージカル。

黒人兵への慰問が大きな制作目的だったようですね。黒人しか出てこない、というのは一種異様ですが、逆にここに白人が混ざったら、当時の状況では逆に、作りづらかったろうとも思います。

リナ・ホーンによるタイトル曲「ストーミー・ウェザー」(名曲!)しか知らない…という状況でみましたが、さすがに退屈なところも随分あったものの、一部物凄いパフォーマンスに揺さぶられ、また発見が幾つもあって、眼と耳にはひとときの愉悦、を味わえました。

主役はビル・ボージャングル・ロビンソン。クラシック映画のどこかで見ていると思いますが、じっくり対峙するのは初めて。黒人タップ・ダンサーのパイオニアとのことで、流石に多彩で安定感あるステップでした。

が、この方、映画で知られるようになったのは50歳過ぎてからだそうですね。正直、少しもっさりしたところもあるなあ…と感じました。

彼が、自身の芸人歴を振り返るストーリーですが、これはオマケみたいなもの。次々登場する黒人パフォーマーの一流芸披露が主眼で、ぶっちゃけ映画より生舞台で見たいと思った。実現は難しかったでしょうけれど。

ヒロインがリナ・ホーンで、彼女の歌声が一方の大きな柱。「ストーミー・ウェザー」はやっぱり、聴かせますねえ。

で、この歌唱シーンと幻想的なミュージカルシーン…『赤い靴』を連想…がコンボになっていて、メインの女性ダンサーが素朴だがすっげえキレイ!と思ったらキャサリン・ダンハムでした。

マヤ・デレンに影響を与えた人、という覚え方をしていましたが、初めてその舞いをじっくり堪能できホクホクでした。ここでは自身のバレエ団を率い、優雅だが少しストイックな演技を見せてくれます。

正直、ビルさんのタップには史料的価値の方が大きいかな、と思っていたところに…物語とは無関係に(笑)…ニコラス・ブラザーズによるサーカスか!と見紛う大見得タップ・ショーが登場し目を奪われました。これは今見てもスッゲエ!

最近の、『ラ・ラ・ランド』でのタップダンスなど、アレが演出意図だとわかっちゃいても、アレはお金とって人に見せるシロモノじゃないな…と改めて思い直してしまった。

これはたまたま、CineFixによる「Top 10 Movie Dance Scenes Of All Time」という動画でNo1に選ばれていたのを知ったのですが、確かに、映画史に刻んでおくべき名パフォーマンスだと思いました。

https://youtu.be/YAE_p0KUnIs

うん、忘れないでおこう。

<2017.4.26記>
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