再見。紛うことなき"lovers on the run"の傑作。リンチの実力/評価ともに絶頂期のピーク作といっていい。思いつきや出鱈目を躊躇なく取り入れるフィーリング主義が、ギフォード原作への脚色で却って限界まで炸裂。躁方向に振り切っている意味でもリンチ映画では貴重だが、これも原作というベースあればこそだろう。シーン繋ぎに多用されるマッチを擦るショットなど…適当さもすべて良い方向に働いている。
終盤、刑務所に再収監された男が、妻からの手紙を読む…そこには顔を見ることすら出来なかった自らの生まれたばかりの子供のことが綴られている…という展開は、いま見ると『セインツ』のよう。"lovers on the run"系統内での共鳴。たぶんロウリーは、別にリンチとか特段好きじゃないかもしれんけど。
2020/07/24