バナバナ

嘘つきは恋の始まりのバナバナのレビュー・感想・評価

嘘つきは恋の始まり(2008年製作の映画)
3.8
エヴァンの仕事は遺書となる「詩」を書くこと。
遺書といっても、遺産相続や財産処分のことを書くのではなく、
エヴァンは死にたいと思っている人から心情を聞き、それを詩に表すのだ。
いわば「他人の痛みを言葉にする」のが彼の仕事。
しかし、言葉にする事で気が済む人もいれば、予定通り実行してしまう人もいる訳で、繊細でありながら、他人には言えない、かなり訳有りの仕事なのだ。

ある時、彼の顧客“だった”人の妹と知り合う。
思わず「お兄さんの大学の同級生でした」と嘘をつくエヴァン。
シャーロットの方からぐいぐいモーションを掛けてきたのだが、エヴァンも彼女のことを好きになっていく。

このシャーロットをウィノナ・ライダーが演じているのだが、
若い頃やってたキャラクターがそのまま歳を取った感じ。
いいところのお嬢様なのだが、定職をころころ変えて、ちょっとエキセントリックなところがある女性。

しかし、エヴァン役のウェス・ベントレイがともすれば、まだ20代に見えるのに対して、彼女はどうしても40代のおばさんにしか見えないのが辛い。
なぜ、ウィノナにこの役が来たのだろう?
若い頃のエキセントリックさを、まだ買われているのだろうか?
他に幾らでも、もっと男優に合う若い女優さんが居そうなのに…と思えてならなかった。

エヴァンの生い立ちそのものが暗いせいか、他人の普段は表に出さない影(暗)の部分に敏感で、美しい言葉に変換するのが上手い人、という設定が面白い。
顧客との打ち合わせ以外はずっと家に閉じ籠っている単調な暮らしに、シャーロットが現れ、
もう一人変わった客が現れて、彼の生活に変化が訪れるというところも、
この作品を作ろうとした人達の、優しい気持ちが伝わってきて好きでした。
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