春とヒコーキ土岡哲朗

ヒッチコックのゆすりの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

ヒッチコックのゆすり(1929年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

身を守るために隠しごとをするどツボ。
一時の気まぐれでよく考えずに行動してしまったアリスが、結果、正当防衛で殺人を犯し、自首しようとするも、恋人のフランクに止められ、罪悪感を背負うという、保身のために怯え続ける弱さを描いた話。アリスの家(店)で、来客時にベルが鳴るが、フランクが来たときは、アリスが自身が起こした事件によって揺さぶられ始めることの合図、フランクの応援に来た警官たちが来たときは、アリスの罪悪感背負いっぱなし人生の始まりを表すゴングになっていた。アリスが、絵に書き添えたサインを証拠隠滅のために消したが、自首しようと警察署に行ったときに書類にサインをする、という綺麗なフリ・オチがたまらん。アリスの悲鳴が第一発見者の悲鳴にシフトしたり、椅子に座る警察署長から椅子に座る恐喝男に映像がシフトする技術って、このころからあったのか。そして何より、ファニーな絵画の指差しが、ファニーゆえの怖さがあった。