ヒッチコックのゆすりの作品情報・感想・評価

『ヒッチコックのゆすり』に投稿された感想・評価

西東京

西東京の感想・評価

3.5
冒頭ですっかりサイレントかと思ったらトーキーだった。白いシーツに隠れて画家の男と争う場面の急な静けさによって殺害したことを表す演出は、音のコントラストを表現できるトーキーならでは。物語はラングの『飾窓の女』を思い出したり。時代的にかなり早いのではと思うノワール的なサスペンス。モヤモヤする嫌なラスト。
完全にサイレントの『下宿人』や『リング』の方が照明がちゃんとしていた気もするけど、本作の白っぽい画面はドーランを塗った男女の輪郭を溶解させ、ラストにかけてあやふやになっていく罪の意識と重なる。
ヒッチコックらしい凝った演出は健在で、自首しようと立ち上がる女性の首に窓の影が被さって絞首のように見せる演出はギョッとする。
ヒッチコックのイギリス時代の初期作品。映画史的にはサスペンス映画の先駆けなのかな。
サイレントからトーキーへの移行期に撮られた映画なので、まだサイレントの部分であったり、サイレントならではな演技も見られます。カメオ出演でも有名なヒッチコックですが、当たり前ですがまだ若くて驚きました。
アパートの階段を真上から撮るシーンは「めまい」にも通じているんでしょうね。
当時の作品がどこまで幅広くあったか分かりませんが、サスペンス映画を犯人探しの正義的映画ではなく、人間の心の葛藤を描いたものは新しかったのではないでしょうか。
サイレントからトーキーへの過度期的面白さを期待したが、そんなことより作品としてシンプルに楽しいヒッチコック初期作。
街商店の娘アリスはたまたまバーで出会った画家の男と楽しい夜を過ごしていたが、男がアリスを襲い…
アルフレッド・ヒッチコック監督作品。ヒッチコック初トーキー作品ひいてはイギリス初トーキーが今作だそうな、いざ鑑賞してみると基本的な映像編集がまあ楽しいサイレントの技法がさすがなサスペンスだった。
まず今作はヒッチコックの初トーキー作品になっており、オープニング8分がBGMのみのサイレントでその後がトーキーになっているやっつけ感がありあり。ヒッチコック自身今作をサイレントで撮る予定だったが、製作のお達しでトーキーを導入せざるを得なくなった感が見えてきて面白い。しかし同じ過度期のルネ・クレール"巴里の屋根の下"のような工夫を期待すると、肩透かしを喰らう。音響の工夫に関しては今作はあまり力を入れていないようだ。
だがその代わり映像に関しては流石のヒッチコック、素晴らしき編集の妙が良い感じ。オープニングの回る車輪→走る車のモンタージュ、狂気にクローズアップすることで事件を予感させるサスペンス手法、絶叫から悲鳴へのうますぎるサウンドマッチカット、マイクにズームインしてからセリフから実体への変換のうまさなどなど唸る映像表現の嵐。言葉で表さずとも映像で見せる、ヒッチコックの映像表現は1920年代からかなり野心的だったのだ。
そして正当防衛から殺人を犯してしまった娘アリスの不安な心理描写のなんとうまいことか、殺人後の放心状態でのよろよろ演出もさることながら、画家の書いた指差し煽る男の絵画がアリスを指摘して嘲笑うかに見せるモンタージュが素晴らしい。このモンタージュはラストの後味が悪い見せ方にも繋がるし、"お前はこれから罪を背負って生きるんだ"というセリフまで聞こえそうになるほど映像の組み合わせが最高だ。また不安を抱えるアリスに降りかかる警察の存在や、事件の顛末を知りたがる市民の何気ない言葉がアリスをこの上なく責め立てているように見せる脚本が素晴らしくスリリング。このスタイルは"サイコ"における前半の不安の煽りのハシリだと感じた。精神的に不安な状況を作り出し登場人物の恐怖する姿を見せるのがこんなに上手いのは、ヒッチコックぐらいなんじゃなかろうか。
shirai

shiraiの感想・評価

-
授業内で鑑賞しましたが、4分の3寝てしまったので実質見てません。
ヒッチコックの初期の作品で初のトーキー映画ということで色々な試行錯誤があったのであろうことが伝わってくるが作品の出来自体は全体にややぎこちなくストーリーも冗長に感じた。とはいえ細かい演出を拾っていくと印象に残るものも多く、間接的な描写で恐怖感をあおる手法はこの時点からかなり効果的に用いられている。
kazun

kazunの感想・評価

4.5
序盤8分位サイレント映画。そこからはトーキー映画。
10分くらいの所で、本人登場。
アリスが茫然と夜の街をさまよい歩く。
シェイカーふりふりのネオンがナイフふりふりに見えるところがうまいなーと思いました。
初トーキーとのことで、音声に関しては試行錯誤している印象でしたが、
映像に関しては色んな見せ場があって流石と思います。
指差しのあの絵、「天知る地知る我知る也」と教えています。
夢に出そうな絵です。
ヒッチコック初のトーキーということで彼の作家性の源流が垣間見れる面白い作品。男女の甘ったるい関係から唐突にサスペンスが展開していく様はいつものヒッチコックぽい。

シンプルでスッキリとしたストーリーだが、一つの事件が起こり、その関係者やそれを利用する人物の関係性や優位性が変化していく展開力もしっかり備わっている。

ヒッチコックぽい演出も要所要所で見られる。特に階段の見せ方が好み。クライマックスの逃亡シークエンスも視覚的に贅沢なものでよかった。

ただ初期作ということもあって私の好きな断崖ほどパンチは感じられなかった。集中力が途切れた場面も何個かありだいぶヒッチコック玄人向けかもしれない。
イギリス初の長編トーキーらしい。オープニングシーンを見たときは「あれこれサイレント映画だっけ?」と思ったけど、途中で普通に喋り出した。1929年に作られた映画なのでサイレントとトーキーの雰囲気が上手く混じり合っている感じが良かった。

シンプルな設定と展開だけどヒッチコック独特の見せ方(ナイフという言葉を強調させるところや絵など)があって全体的には面白かった。ただ、終わり方だけちょっともやっとする。
oVERSON

oVERSONの感想・評価

3.4
サイレントとトーキーの狭間にある実験的な映画であるが、娯楽サスペンスとしては上手くいっていない。
手元のナイフや銃器へのクローズアップは良い。
2022-348
けーこ

けーこの感想・評価

3.8
始まりの音の無い画像からも
靴の音が聞こえて来そう…
殺人シーンはオブラートに包み
その後の散りばめられたゾクゾク感がたまらない。

毎回、楽しみになっている監督登場シーン。今回は長めだった。
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