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わが谷は緑なりきのNYoLoのレビュー・感想・評価

わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)
3.8
せっかくTSUTAYAに行ったので、クリップしていたやつでなかなか見つからないのを探そうと思っていたら、これ、見つけました。

わが谷は緑なりき

日本語の美しさを再発見できる素晴らしい邦題です。

そして、邦題に劣らない美しい映画でした。
かつて炭鉱で栄えたウェールズの谷の村に住む、モーガン一家の末息子、ヒューの回顧録として綴られるドラマ。

姉が1人に兄が5人。だったっけ?数多すぎて途中で分からなくなっちゃったけど、兄も父も炭鉱で鉱夫として働く一家。この一家の、おそらく5年ほどを描いておりますが、派手さはなくても、誰の人生にも起こり得そうな出来事がたくさん詰まっていて、その散りばめ方が一見散文調でありながら懐かしさが滲み出すように作られていて、纏まりも感じました。秀逸です。

仕事においては貧しさもあり、ストライキもあり。でも炭鉱帰りの人々の力強い合唱に、そこに生きる人のたくましさを感じました。

時には衝突してもピンチの時にはみんな助けてくれる。特に、ヒューが隣の村の学校に通うことになったときのくだりには、みんなの優しさと行動力に涙が出てしまった。

恋と結婚。進路。息子たちの旅立ち。怪我や死など。どこかに共感できる普遍の人生がありました。

思い返せばそこには、どっしりとした頼もしい父がいて、自分が安心して大人になれる家があった。
ヒューは晩年、その村を離れることになるのだけど、色あせない原風景が心の中にあるのだと思う。
最後まで見ると更に、タイトルが美しく際立つ感じがしました。

そして昨日は母の日。モーガン家のお母さんは、母の日にふさわしい母でした。
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