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オオカミの家のNYoLoのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.5
映画鑑賞は知らないことを知るきっかけになる。

コロニアは名前としては知っていたけれど、名前しか知らなくて、この度本作の後に付いていた、南米のドキュメンタリー研究者の方と海外のアニメーションの紹介をされている方のトークショー(解説?)を見て、なんて恐ろしいことが起こっていたんだと…

今更でごめんなさい。

本作のベースにある、ピノチェト時代のチリのことと、このコロニアディグニダのことは知っておいてから見た方が良いと思う。知らないで見ると、単に技法がすごいストップモーションアニメ、よく分からないな、ってなります。けっこう尺あるし。

ってか、何の前情報もなく本作見る人ってあまりいないのかも。私くらいか。

映画はちょっとした入れ子構造になっていて、閉鎖されたコミュニティのことを知ってもらうための物語、として映画内で紹介される形で始まります。結果、ここが一番怖かったかも。

美しい少女マリアが豚を3匹逃してしまったために、100日間、誰とも喋ってはいけないという罰を受ける。森に逃げるマリアがたどり着いた家の中で展開される物語。

トークショー(解説)では、その時代のチリは、日常が既にある意味マジックだったのだと、急に隣人が死ぬ、3日で政権が変わる、そういった感覚が、この作品の作りにも影響している、というようなことを仰っていました。

この世界には、残虐な行いを止められないときがある。辛い。
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