竜平

ハードエイトの竜平のレビュー・感想・評価

ハードエイト(1996年製作の映画)
3.8
何やらカジノで負けたらしい男がふと出会うことになる初老のギャンブラー。やがて交流を深めることになる二人がとあるトラブルに巻き込まれていくが、という話。

ポール・トーマス・アンダーソンの長編デビュー作。主演が初期P・T・アンダーソン作品では常連、そしてわりと様々な映画で目にする名脇役的俳優フィリップ・ベイカー・ホール。共演にジョン・C・ライリーやサミュエル・L・ジャクソンなど。あと『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の時にも思ったけど、やさぐれ気味のグウィネス・パルトロウ、良い。とくに細かい説明もないまま進んでいくストーリー。で不意に出会うことになる人物たちの人間模様をのらりくらりと描くようなもの、かと思いきや、地味に二転三転していく流れとじつは後半に用意されてるちょっとしたサプライズ、というか真相、主人公のあれこれなど。とにかく後々見えてくるその展開に意表をつかれる感じ。雰囲気なんかは全編通していいんだけど、正直途中までは「まぁこんなもんか」くらいのテンションで見てた、ナメてた。これは初見もだし、じつは二回目以降の鑑賞も楽しめるような造りになってるんじゃないかなと。よくよく考えると、ポール・トーマス・アンダーソン作品ってのはどれもそんな感じで、何度も見ることでまた「味」が出てくるというか。そんでその才というのは今作の時からすでにあったんだなと、ようやく理解。

めちゃくちゃ深いとかでは決してないんだけど、結末までスルスルッと見れて尚且つなんかグッとくる内容。得も言われぬ初老ギャンブラーの哀愁よ。切なさと愛情とが入り混じるサスペンス的ヒューマンドラマ。
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