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動くな、死ね、甦れ!のmhのネタバレレビュー・内容・結末

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

WW2直後のソ連、極東の町が舞台。炭鉱の町に生きる子どもの話。
怒鳴るようにしゃべる演技もへったくれもない役者陣。転がりがよい反面、説明不足なんだけど、監督自身の幼少期をもとにしているせいか、ただならぬ説得力がある。
・共産圏特有の地方都市の教育の低い住人。
・舗装されず水捌けの悪い道路。
・ボタ山や鉄道の引き込み線。
スターリン統治の末期1947年を完璧に再現できる1989年のソ連がヤバい。
恵まれてるとはいえない環境とともに少年は成長していく。転落していくことを、エピソードを積み重ねて見せてくれる。
おさな馴染みの少女が賢くて、その対比も効果的。
ラストのカタストロフは必見。
監督の声を消さずに残していること含め、膨大な情報量を一気に流しこまれる。
見ている側はそれらを処理しているうちに、事態を把握する。
冒頭に監督の歌がひとくさりはいるんだけど、それにより、
・作中で即興の歌を披露する主人公が、監督自身であることを示す。
・アドリブの演出多めであること。
また、音楽が多めであることも仄めかしている。
これが、53歳の監督のデビュー作というのもすごい。
婦女暴行の罪で八年間のブランクがあったとのこと。半グレみたいな生活していて疑われた結果の冤罪だったのかどうかはわからない。各国のWikipediaみたけど、冤罪であるとも書いてない。
「炎628」「鶴は翔んでいく」ソ連には視聴困難になっているとんでもない作品が多くて、これもそのひとつだった。
続編である「ひとりで生きる」なんて、どうやって見たらいいのかと途方に暮れてるレベル。
いまならまだ、3万で中古品が手に入るけど、一回見たらもう見ないもんなー。
それでもまだ入手可能であることを喜ぶべきか。これも、迷ってるうちに安いのは買われて、とんでもない額のやつしか残らないパターンかな。
みんながショックを受けるのも当然の、とんでもない映画でした。
面白かった!
mh

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