ごろちん

シルバー・グローブ/銀の惑星のごろちんのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

社会主義国家で製作されたSF映画はメタファーを含んでいる作品があって面白い。SFだと検閲から睨まれた時に「あ、これ別の星の話なんで!」とかわせるからだろうか。でも逃れ切れなかったのか(製作費が予算オーバーというのは託けのような気も)この作品の5分の1の映像が未完になってしまったそう。うーん、惜しい。

銀の惑星に不時着した宇宙飛行士たちは信心深い原住民から神のように崇められる(この生き残った「太古の人」は社会主義国家以前の規制が無い時代の人のメタファー?)。その子孫は従順な住民を従え、意気揚々と未知なる海の先を試みるが…。これは旧約聖書、新約聖書の出来事になぞらえて社会主義国家で生まれた思想や芸術の始まりから終わりまでを描いているような気がする。

ゲルマン監督の『神々へのたそがれ』が石の惑星なら、この『シルバーグローブ』は水の惑星のイメージ。どちらも真っ当な人間が住みにくい場所として描かれている。社会主義国家で活動する思想家や芸術家にとって当時はこの惑星のように居心地がかなり良くなかったのでは?

映像は圧倒的な美しさ。ただ、青みがかった何も無い世界は常に寒々しい。実際にこの惑星があったと仮定して、『神々へのたそがれ』のアルカナルとこの銀の惑星のどちらかに住めと迫られたら……やっぱりどっちもムリ!!
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