『オキュペイドシティ』式の徹底的な記録の羅列。それをフェイクドキュメンタリーで、しかも初長編作品でやるってんだから凄まじい。
「未知の暴力的事象(VOE)」の蔓延する近未来世界で、多くの人が死亡し、時に不死者となったり、鳥にまつわる共通の症状に苦しめられていた。被害規模は約1700万人、そのうち「FALL」でで始まる名前の人92名にインタビューと調査を行い、その記録となっている。
その後の作品を追ってもわかるようにとにかく「数字」と「アルファベット」への執着がすごい。文字情報の持つ無機質な美に既に陶酔しており、その理解不能の熟語や固有名詞の羅列で、映画は成立しうると確信を持って作っているところに好感を持てる。
人類の進化の兆候、その過渡期の記録のようでもあり、パンデミックの記録のようでもあり、いまだその事象自体が分析されきっていない渦中の記録の質感もいい。
映像のスクラップブックとしても非常にセンスが良く、大好物だった。
