ドント

キルボットのドントのレビュー・感想・評価

キルボット(1986年製作の映画)
3.7
 1986年。やったね! という感想がしっくりくる。3階建てショッピングモールに配置された警備ロボットが落雷の影響を受けて暴走、技術者を殺害し中央制御機をハック。屋内で同僚の誕生日パーティーをしていた若者たちを刺したり摘まんだり燃やしたり目からビームを出したりして殺していくアクション・サスペンス。
 原題は「チョッピング・モール(細切れモール もちろんショッピングモールのもじり)」で、警備ロボットはウォーリー(ピクサーのアニメね)型というホンワカぶりに似合わぬウェルメイドな仕上がりである。ざっと導入を済ませたらはい落雷、機械発狂、閉店時間からのパーティと掃除のオッチャン死~! とサクッとやっていく。
 コトが起きてからは男女グループを分けて動かしてみたり、即座に銃砲店でガッツリ武装したり、女性組もワーキャー逃げるだけでなく反撃したりと、わずかに休息をとるシーンこそあれ「動きと移動」が絶えない。アイデアや機転もある。もちろんショッピングモールの広さや上下、お店なども適度に使う。もっと手広くてもよかった気持ちも残るが、このタイトさとトレードと考えれば頷ける。テキパキしていて心地よい。
 そして警備ロボはクッソ硬いので、ショットガンやツボを外した爆破くらいじゃ倒せない。キャタピラで人間の小走りくらいの速度が出るので微妙に速くて怖い。この辺のバランスがいい具合なのだ。あと目からビームとか出す。そんな設定はなかった気もするが落雷の影響である。出るんだから仕方ない。こいつがすごい破壊力で、本作は元々テレビ映画らしいのだが家具店はボスボス爆発し、人の頭が爆裂する。あと人が燃えたりも。元から少人数とは言え慈悲なく死ぬ。とてもよい。
 追ってくるロボットに銃をドンバン撃ちながら逃げる中盤まではサバイバルアクションで、残り人数が少なくなってからはスラッシャー映画の趣が強くなる。一粒で二度おいしい。人間側が揉めたり言い争ったりするつまらん停滞シーンがほぼないのも好印象。そして最後は大爆発、2分もしないうちに完、ってんだから素敵である。80年代のレトロなモールの雰囲気も楽しめて、いい湯加減のゆったり浸かれる映画だった。
ドント

ドント