真田ピロシキ

マン・オブ・スティールの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

マン・オブ・スティール(2013年製作の映画)
2.9
アメコミヒーローに興味を持った頃も、ハマってた頃も、アンチ化した今も一貫してコイツの何が魅力なのか理解できない。ぼくカル・エル。なんの努力もしてないけど悲劇的な運命を背負って地球に流れ着いたら環境のおかげで万能の力を持っちゃいました。孫悟空は病気になったら死ぬけどぼくは病気にもならないもんねー解釈によっては知能もスーパーだし歳を取ったら太陽エネルギーを蓄積して更に絶対的な存在になります。あっ、でも普段は冴えない青年クラーク・ケントの皮を被っているよ。先日ナーメテーター映画のご都合主義ぶりを批判したけど、コイツはその頂点のような異世界転生なろう系で本当好かん。あーそれに対する答えはコミックにあるとか言わないでいいです。読んだ末で「だから何?」としか思わなかったので。かと言って一方的に因縁つけて抹殺しようとしてたブルース・ウェイン(ベン・アフレック)とかいう悪党を正当化もしないけどな!クリストファー・リーヴの頃のような牧歌的なテイストならこのアホらしい設定も微笑ましいが、無闇にシリアスにされると滑稽さがばかりが増す。

そんな気持ちで2回に分けるくらい消極的な見返しだったのだけど、見返してみると意外に私の抱くスーパーマンへのアンチ要素には触れられていて、実父ジョー・エルが「地球人の目標になってやれ」とか言う上から目線バリバリの植民地主義的だったり、太陽を遮断されたゾッドの船やクリプトン化の下りでそうなったら無力な男と言われるようにスーパーマンの脆弱さを描かれてて結構スーパーマンに批評的。本作はまだユニバースなんて集金映画にはなっていなくてヒーローはスーパーマンしかいないので、地球人も援護をするのではなくスーパーマンの手の届かない所は自分でやるように主体的。スパイダーマンの奮闘する市民描写が好きだったのでここは良い。あの地球人を虫ケラとしか思っていない副官女に吠え面かかせてやったのは痛快。ザマア見さらせクリプトン人。しかしいつの間にか鼻持ちならないクリプトンの代表格ジョー・エルが良識的な人間ヅラしてたのは理解に苦しむ。

アクションはスーパーマンのつまらなさが表れてて、主人公も敵もHPと防御力がバカ高い奴らがただ殴り合うだけで何のトンチも利かないので単調。それで140分以上あるし。それでもザック・スナイダーお気に入りの高速移動演出でぶつかり合うのはキマってる。特に副官女とデカい奴がコンビネーションで襲ってくるのは動きにメリハリがあって良い。ゾッドがビルを獣のように這って登るのは笑った。飛べよ(笑)命の扱いはどうか。やむなくゾッドの命を奪ったことに傷ついていたが、次の映画でジョーカーみたいな大人気ヴィランは決して殺さないけどモブはいくら死んでも構わないマンが出てきただけにコイツも似たようなものじゃないかと思えてならない。ジャスティスリーグはヒーロー様が虫みたいな雑魚敵殺しまくってた訳だし、結局命の選別をしてるんじゃないすかねー