荒野の狼

劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日の荒野の狼のレビュー・感想・評価

3.0
2013年公開の102分の作品でTVシリーズの劇場版。私はTVシリーズは未見であるが、シリーズの知識なしに楽しめる内容。安土城が再現されているかと期待してみたが、城の描写は内部・外部とも限定的。歴史ミステリーを解決するのがテーマである作品だが、安土城自体が、今一つ生かされていない。安土城はユニークな構造・装飾で知られる幻の城なので、せめてCGででも再現して欲しかった思いは残る。
本能寺の変から安土城の炎上までが本作の中心となる舞台であるが、他には戦時中の日本にもタイプスリップ。ここでは軍国教育が行われており、竹槍訓練や奉仕活動などの洗脳された人々の狂気がうまく描かれている。また、米軍による空襲シーンで恐怖が迫ってくるあたりは、現実感が高く、この部分は、歴史ドラマとして高く評価したい。
主演の要潤はゴーグルをしたコスチュームからは、アクションヒーローのような印象をうける。要潤はTVシリーズ「仮面ライダーアギト」で2号ライダーの仮面ライダーG3役を演じており、よく似合っているが、アクションは共演の時任三郎と杏が担当。要は進行役のような抑えた演技でよいが、劇場版なのでヒーローらしいアクションのサービスがあってもよかった。
ヒロインは杏と夏帆で、二人ともコスチュームも似合っており適役ではあるのだが、知的・細身・ロングヘア―・長身と雰囲気が被っており、宇津井健が上司を演じている組織「タイムスクープ社」でこのような女性エージェントを養成しているのでは、というくらいに、二人のキャラクターは似ている。二人の違いを見せたほうが、配役の魅力がでたであろうと思われ、工夫が欲しかったところ。
他に、2022年に逝去した上島竜兵が商人役で出演場面も多いが、演技は大袈裟なところはなく好演。ご冥福を祈りたい。
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