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クラウド アトラスのKSatのネタバレレビュー・内容・結末

クラウド アトラス(2012年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

おそらく、かなり賛否両論分かれるだろうが、自分は擁護派。大学入学直前に映画館で観て、興奮したのを覚えてる。

・19世紀半ばの波乱に満ちた航海譚
・1930年代英国の青年二人の恋と名曲誕生秘話
・70年代サンフランシスコの原発を巡るハードボイルドサスペンス
・現代の英国における老編集者の介護施設脱走コメディ
・近未来アジアの高層都市におけるクローン少女と革命家の反乱
・文明崩壊後の地球における土着信仰的な人類の闘い

この全く無関係な6つの物語を、二人の監督が映像化し、3時間弱かけて交互に映し出す。

実質30分にも満たないそれぞれの物語は、いずれもジャンル映画的な内容で、どこかで聞いたような噺ばかりなのだが、それが交互に織り重なった時、絶妙な効果をもたらす。

さらにいうと、それが文字通り、劇中の曲と共鳴し合っているから、これは物語と音楽の関係性の新たな提案とも言えるかもしれない。

その上、各登場人物(同じ役者)が姿かたちを変えて各物語の世界で転生し合っていることを伺わせる描写が見て取れ、物語そのものの本質として、某幸福のなんちゃら科学もビックリするほどのスピリチュアルな側面が強い。

要するに、我々日本人がしばしば云うところの「縁」についての物語だ(ある意味、『君の名は。』にも通じる話?)。それを、他ならぬクリスチャン世界であるはずのハリウッドが何億ドルもかけて映像化するのだから、凄い。

あまりヒットしなかったし、確かに長すぎるのは事実だが、後世に語り継ぐべき恐ろしい傑作である。
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