しまうま

アパートメント:143のしまうまのレビュー・感想・評価

アパートメント:143(2011年製作の映画)
2.9
POVホラーもの。

いきなりチャラい感じの男が撮影する車内の映像から始まった時は「あ、ハズレかな…」と不安になったけど、POVホラーの中ではかなり出来が良いように感じた。


POV演出をやりたすぎて矛盾が発生するということもそこまで目立たずに(少なくとも僕は気づけなかった)、アパートの一室を舞台にとても臨場感のある一本に仕上がってる。
他の映画を引き合いに出して申し訳ないけど、でも自分の性根が悪いということを認めるからさせてほしい、『コンジアム』よりよほど面白いなと思った。
※『コンジアム』に関しての個人的所感については記事あるのでそちらをご参照ください。


諸々引っかかった点については下記のネタバレありの感想にて。

 




▪️▪️ネタバレありの感想▪️▪️

今回の事件、ひとつの家庭に大の大人が3人担当に当たってる。しかもかなりの量の機材も投与されて本格的。ポルターガイスト現象の調査ということで保険が下りるわけでもないのに、あの貧しい一家が払えるほどのお金で回収できるのだろうか? 

調査による収入ではなく、撮影によって撮れた映像の版権などで利益をあげようとしてるかもしれないけど、それにしても3人の大人が何日も泊まり込みで人工(にんく)を割いている。人件費と機材費を考えると、とても彼らの生活を賄えるとは思えないし、仮に賄えたとしてもギリギリのような気がする。

3人のうち1人は精神科医でもあるから、ごくまともに自分の職務を全うするほうがよほど稼げるはずだ。お金目的じゃないのなら、本人に特別今回のような霊的現象に興味があったかというと、むしろ作中ではリアリストとして表現されている場面がとても多い。ならお金儲けもできない、人情家でもないのに今回のような調査に加担する意味がわからない。

そんな感じで途中から「え、これ絶対仕事としては破綻してないか」という疑問をずーっと頭の片隅に置きながらの鑑賞となってしまった。ホラー演出にリアリティを求めるのなら、雑でもいいからそういった設定に関しても少し考えてほしかった。



あと、一応今回の事件は長女ケイトリンの無自覚な超常的パワーが起こしたものと結論付けられ、それでチームは引き下がることになる。僕ら視聴者は最後の演出にてやっぱり幽霊でした!ってのがわかる構造にはなってるけど。

途中、思いきり女性の幽霊がカメラに映ってたよね。それもケイトリンによる力だとチームは思った? それで納得できるような映像にはなってなかったような。結論が出たらあれだけ懸命に、そして慎重に調査していたチームが妙にあっさり引き下がってしまったのも歯切れが悪かったように感じた。



と、ここでは文句ばかり言ってしまったけど最初に書いたように、POVホラーとしては一定のクオリティをじゅーぶんに超えてる、見応えある作品に仕上がってると思う。観てよかった。
しまうま

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