チョマサ

Playbackのチョマサのレビュー・感想・評価

Playback(2012年製作の映画)
5.0
2019/9/15追記
数年前にこの映画を2回見た。
当時のレビューはFilmarksにも書いてたけど、カッコつけて書いていて、分かったようなことを書いていた。
実際はこの映画が何も分からなかった。パンフレットもないし、雑誌のインタビューを読んでもわからなかった。ソフト化もされてないので何度も見られないため検証もできなかった。

今回たまたま上映していて、数年ぶりに見てみた。
映画を見ているとよくあることで、でも不思議なことに、分からなかった映画がすんなり理解できることがある。
この映画は俳優が見た夢の話なのだ。
キャリアと人生に陰りのある俳優が、正夢のような夢を見ることで自分の過去を振りかえり立ち直る話なのだ。
どれが夢でどれが現実の出来事なのかを把握すればこの映画は理解できるのだ。

村上淳演じる"遠藤"が道路を渡った時から夢が始まっていることが、終盤で明らかにされる。
遠藤が目覚めたときは、夢が切り替わるポイントになっている。
一度目の夢で彼は死んでしまう。二度目の夢で彼は現実で正夢のようなことが起きていることに気づく。その体験のなかで、彼は人生を修正していく。
『恋はデ・ジャブ』や『ミッション・8・ミニッツ』のようなループものに近い構成だ。
菅田俊が演じる"遠藤監督"の「今まで選んだ選択が結果として積みあがって今がある」といった言葉も、この映画のヒントになっている。

でも冒頭と終盤の一瞬だけ挿入されるカットを考えると、どれが現実の出来事なのか不明瞭にされてる。

そういった構造が分かると、登場人物の細部に目が行った。渋川清彦のお調子者な感じの昔馴染み。一つ下の幼馴染も娘の劇のビデオを見て感動する母親になった。当時の映画好きの先生は亡くなり、先生の紹介で監督の遠藤と出会ったことを思い出す。小学校の思い出を語り、同級生の結婚式に出る。
みんな地元を出て行って帰ってこないことを愚痴ったりと、そういったデティールがすごく理解できるし楽しめるようになっていた。

製作状況は分からないけど、俳優のアドリブで場面を作らせていると思う。正直、嫌いな作り方なんだけど、この映画だと、そういった演出もそんなに嫌いじゃなかった。

三宅唱監督は、このときは注目されはじめていた。あれから『きみの鳥は歌える』を作って評価された。
今度はNetFlixで『呪怨』を作る。
時の流れは本当に早いが、これからまだまだ面白いものを作ってくれると思うし、ずっと見ていくと思う。

さらに追記
http://www.playback-movie.com/interview.html
公式HPのインタビューにタイムスリップの物語であることが書いてあって、なんでこれを読んですぐに気づけなかったんだろう。当時はこれを見逃してたんだろうか。

2015/02/09 19:52
話を反復させる映画。
映像が白黒で分かりやすい筋がない話を反復させるので見ていて眠くなるのだけど、俳優の演技や同じ話でもどう変わるかといったところが面白かった。
チョマサ

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